2001 Fiscal Year Annual Research Report
6π-アザ電子環状反応を用いた新規合成戦略の開拓とその展開
Project/Area Number |
13680679
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
勝村 成雄 関西学院大学, 理学部, 教授 (70047364)
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Keywords | 6π-アザ電子環状反応 / ジヒドロピリジン合成法 / 速やかなアザ電子環状反応 / 置換基効果 / アザトリエンの立体選択的合成 / 軌道相互作用としての理解 / 不斉アザ電子環状反応 / インドールアルカロイドの不斉合成 |
Research Abstract |
本研究は、低分子化合物による酵素機能阻害機構を解明する研究の過程で得られた6π-アザ電子環状反応による新規ジヒドロピリジン生成反応、及びその反応速度を著しく促進させる置換基効果に注目し、反応活性化効果の解明と速やかな電子環状反応の実現、それに基づく新たな合成法の開発・展開を目的としている。すなわち、6π-アザ電子環状反応は古くから知られている反応だが、その反応性を追及した研究や、積極的な有機合成への利用例はあまりない。そこでまず、(i)1-アザトリエン化合物の立体選択的合成法を検討した結果、Pd(O)触媒を用いた一般的合成法を確立することができた。次いで(ii)計算化学を利用して、軌道相互作用の観点から置換基が及ぼす反応速度への効果を考察すると共に、実際に種々の置換基について検討した結果、温和な条件下での速やかなアザ電子環状反応の一般性を理解することができた。さらに(iii)不斉アザ電子環状を実現するため、約40種の光学活性アミンについて検討し、cis-アミノインダノールが有望であることを発見した。しかし、基質によってそのジアステレオ選択性は十分でなかったため種々検討を重ねた結果、より有効な新規アミノインダノール誘導体を開発することができた。目下、その光学活性体の合成法を確立すべく検討している。一方、(iv)6π-アザ電子環状反応により生成するジヒドロピリジンを用い、インドールアルカロイドであるエピウレインの合成を検討した。その結果、光学活性な鍵中間体の合成に成功した。この鍵中間体のラセミ体の合成と、それからエピウレインラセミ体の合成はすでに報告されているので、これで光学活性エピウレインの形式的全合成を実現したことになる。 このように、本年度の研究実施計画をほぼ完了することができた。今後は、不斉6π-アザ電子環状反応の確立と、その新規アルカロイド類合成法としての一般化を検討する。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Tanaka, K., Mori, H., Yamamoto, M., Katsumura, S.: "Significant Acceleration of 6π-Azaelectrocyclization Resulting from a Remarkable Substitution Effect and Synthesis of the Ocular Age Pigment A2-E"The Journal of Organic Chemistry. 66. 3099-3110 (2001)