2001 Fiscal Year Annual Research Report
多相系合成システムによる新規糖鎖合成法に関する研究
Project/Area Number |
13680680
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Research Institution | The Noguchi Institute |
Principal Investigator |
稲津 敏行 財団法人野口研究所, 研究部, 研究員 (70151579)
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Keywords | 糖鎖工学 / 糖鎖合成 / フルオラス合成 / フルオラス保護基 / 多相系 / 固相合成 / グリコシル化 |
Research Abstract |
糖脂質や糖蛋白質などのいわゆる複合糖質の糖鎖が、細胞表層で認識や接着といった極めて重要な現象と密接に関わっていることが、明らかにされている。こうした科学の進歩が「糖鎖工学」や「糖鎖生物学」といった新たな学問領域を造り出し、糖鎖を分子レベルで議論できる段階に至った。しかし、依然としてその標品である糖鎖を自由に合成する術を人類は手にしてはいない。そこで本研究では糖鎖の迅速大量合成を目指し、固相合成とFluorous Synthesisを組み合わせ、それぞれの特徴を生かした「多相系合成システム」の開発を目的としている。 本研究は、新規概念である「多相系合成システム」を開発・確立しようとする糖鎖有機化学的基礎研究で、次の計画に従い実施している。 1)チオグリコシド誘導体と固相担体の設計と固定化 2)高度にフッ素化された保護基(シャトルマーカー)の開発 3)グリコシル化とFluorous Synthesisの応用 4)多相系シヤトル合成システムの確立 本年度は、特に2)高度にフッ素化された保護基(シャトルマーカー)の開発において進展がみられた。糖水酸基の一時保護基としてベンジル基との保護基の直交性を考慮し、また従来の検討結果を反映させ、アセチル基を基盤とした修飾新規保護基(フルオラス保護基)を検討した。その結果、新たなフルオラス保護基を2種類開発することに成功するとともに、その1つは、実際に4糖合成、複合糖質アナローグの合成に応用することができた。 もう一方の誘導体は、固相合成の担体に置き換えうる、糖鎖の自動合成などに応用可能な、超高度にフッ素化された新規保護基で、今後様々な天然物合成に利用できると思われる。 併せて、種々のグリコシル化反応や化学-酵素的手法による天然糖鎖を有する複合糖質の合成などにも関連研究も推進でき、本研究は遅滞なく次のステージに進展できるようになった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] F.Schweizer: "Chain Extension of Sugar-Lactones with the Enolate of tert-Butyl Bromoacetate and Elaboration into Functionalized C-Ketosides, C-Glycosides, and C-Glucosyl Glycines"Org.Lett.. 3・25. 4115-4118 (2001)
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[Publications] T.Miura: "Fluorous Oligosaccharide Synthesis Using a Novel Fluorous Protective Group"Org.Lett.. 3・24. 3947-3950 (2001)
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[Publications] M.Fujita: "A Novel Disaccharide Substrate Having 1,2-Oxazoline Moiety for Detection of Transglycosylating Activity of Endoglycosidases"Biochim.Biophys.Acta. 1528. 9-14 (2001)
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[Publications] 服部憲治郎: "糖鎖クラスターシクロデキストリンの合成及びレクチンタンパクと医薬品に対する二重認識について"有合化. 59. 742-754 (2001)
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[Publications] K.Haneda: "Chemo-enzymatic Synthesis of a Bioactive Peptide Containing a Glutamine-linked Oligosaccharide and Its Charactarization"Biochim.Biophys.Acta. 1526. 242-248 (2001)
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[Publications] T.Yamanoi: "Ytterbium(III) Tris[Bis(Perfluorobutylsulfonyl)Amide] as a Lewis Acid for Glycosidation"Synth.Commun. 31. 899-903 (2001)
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[Publications] T.Inazu(M.Endo編): "New Developments in Glycomedicine : Proceedings of the 4th Hirosaki International Forum of Medical Science"Elsevier Science(Amsterdam). 288 (2001)