2002 Fiscal Year Annual Research Report
膜貫通型プロテアーゼインヒビターHAI-1のプロセシングと機能制御の研究
Project/Area Number |
13680709
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮澤 恵二 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40209896)
|
Keywords | プロテアーゼ / インイビター / プロセシング |
Research Abstract |
HGF activator inhibitor type-1 (HAI-1)は、肝細胞増殖因子(HGF)の活性化酵素であるHGF activator (HGFA)に対する阻害タンパク質として同定された。HAI-1は2つのKunitzドメイン(N-末端側のKunitz IおよびC-末端側のKunitz II)をもつ膜貫通タンパク質として生合成される。昨年度は、プロセシングによりHAI-1の活性が複雑な制御を受けていることを明らかにした。本年度はHAI-1が生体内でどのように機能しているかを明らかにするため、実験動物を用いてHGFの活性化の制御について検討を進めた。 ラットに部分肝切除手術をおこなうと24時間後の残余肝中のpro-HGFの量は顕著な増加を示すが、HGFの活性化はたいへん微弱である。そこで、門脈から活性型HGFAを投与し、肝再生への影響を検討した。HGFAの投与は残余肝のpro-HGFを活性化し、HGF受容体であるc-Metのチロシンリン酸化を誘導した。また、肝細胞のラベリングインデックスを増加させ、肝重量の回復を促進した。しかし、肝再生の促進に必要なHGFAの投与量はその強力な活性化能から考えると非常に多量であった。この結果は、HAI-1のような組織由来のインヒビタータンパク質が生体内ではHGFAの活性を抑制している可能性を示唆するものである。 いっぽう、ラットのDMNを投与して肝硬変および肝線維症モデルを作成し、部分肝切除を行った。pro-HGFの産生は正常肝、線維肝、硬変肝で同様におこったが、硬変肝ではHGFの活性化が顕著に低下していた。この原因を明らかにするために、硬変肝および正常肝におけるHGFAおよびHAI-1の動態について、HAI-1のプロセシング様式の変化と活性制御の関係を軸に検討を進めていく予定である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Denda, K. et al.: "Functional characterization of Kunitz domains in hepatocyte growth factor activator inhibitor type 1"J.Biol.Chem.. 277. 14053-14059 (2002)
-
[Publications] Kaibori, M. et al.: "Impairment of activation of hepatocyte growth factor precursor into its mature form in rats with liver cirrhosis"J.Surg.Res.. 106. 108-114 (2002)