2001 Fiscal Year Annual Research Report
発光細菌luxオペロンの機能の解明、および同オペロンの発現誘導機構の解明
Project/Area Number |
13680721
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
笠井 佐夫 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90047340)
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Keywords | 発光細菌 / リボフラビン生合成 / Photobacterium phosphoreum / Vibrio fischeri / グラム陰性菌 / ribオペロン / luxオペロン / SUGDAT |
Research Abstract |
発光細菌P.phosphoreumにおけるリボフラビン生合成の亢進と2種の発光細菌におけるribオペロンの存在:従来、グラム陽性菌ではribオペロンが存在する故、必要に応じてリボフラビンを大量に合成できるのに反し、陰性菌ではribオペロンは存在せず、リボフラビンは構成的に合成されるに過ぎないとされてきた。発光細菌はグラム陰性菌に分類されるが、強発光時には菌体が濃黄色を呈し、フラビンを大量に合成していると考えられたので、P.phosphoreum IFO13896(強発光菌、親株)を強発光条件下(3%NaCl中)、および弱発光条件下(1%NaCl中)で培養した際の菌体中のフラビン生産量を比較したところ、前者は後者の約4倍のフラビンを生産していることを確認した。一方、親株からは頻繁に弱発光変異株が生じるので親株とこれら変異株間でのフラビン生産量を比較したところ、親株は暗変異株に比べ、約8倍のフラビンを生産していることがわかった。このように強発光時に大量のフラビンの合成が可能であるのは発光細菌においてもribオペロンが存在する可能性が高かったのでP.phosphoreumの部分ribDを縮重塩基プライマーを用いてPCR増幅し、PCR産物の配列決定後、同配列の上下流の配列をSUGDAT法により決定して、発光細菌にも完全なribオペロンが存在することを確認した。さらにV.fischeriにおいても同様の手法でribオペロンが存在することを確認した。本結果はリボフラビン生合成に関与する遺伝子群についての従来の概念を覆すものである。 luxオペロンの機能の解明:機能解明への最短距離と考えて、弱発光の原因となる変異を突き止めることを計画した。可能性のある遺伝子の塩基配列を順次決定し、数十kbpの配列決定を行ったが、現在のところ変異は特定できていない。最近、V.harveyiにおいて新たなluxオペロン発現調節機構が明らかとなりつつあり、P.phosphoreumやV.fischeriにおいても同様の機構が存在するのかを明らかにするために発現調節に関与する遺伝子の配列決定をしたところV.fischeriではこれら遺伝子群が存在することを確認した。現在、P.phosphoreumについても存在の確認を急いでいるところである。
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