2002 Fiscal Year Annual Research Report
副腎皮質前駆細胞株から同定した最終分化に関連する新規分泌蛋白質
Project/Area Number |
13680724
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
向井 邦晃 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80229913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 芙美子 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (60041852)
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Keywords | 副腎皮質 / ステロイドホルモン / 細胞分化 / 組織形成 / 器官形成 / 幹細胞 |
Research Abstract |
本研究の対象とする新規分泌蛋白質(Adrenocortical zonation factor-1,以下AZ-1と記す)の発現レベルは、副腎皮質細胞においてコルチコステロン合成酵素(Cyp11b-1)の発現レベルとの間に次の関係が成り立っている。すなわち、Az-1を発現する細胞では、cyp11b-1の発現が認められず、一方、Az-1の発現がない細胞では、Cyp11b-1の発現が認められる。この関係は、これまでの解析により、(1)AZ-1のクローニングに用いたCyp11b-1の発現レベルの異なる細胞株群、(2)Cyp11b-1を発現する細胞へAZ-1遺伝子の導入を行って得た細胞株群、(3)副腎皮質組織、で矛盾なく成り立っていることが明らかになった。AZ-1を強制発現させた細胞を用いたて解析したところ、その培養液にAZ-1が分泌されていることが判明した。この結果は、副腎皮質で発現される部位(皮質外側の球状層)から細胞外へ分泌されることを示唆する。そこで副腎皮質内のAZ-1の局在を免疫組織化学的に調べたところ、細胞内の局在は認められず、全層に検出されたが、実質細胞を包み込む様に局在した。球状層では、洞様血管内腔には必ずしも面して局在せず、しかし、束網状層では、必ず洞様血管内腔に面して局在が検出された。どちらの場合にも実質細胞間にはAZ-1は検出されなかった。これらの結果は、球状層でAZ-1が生合成・分泌されて中心方向への血流にのって、実質細胞外に結合することを示唆する。この分布は、ラミニン、IV型コラーゲン、フィブロネクチンのそれと共通であることから、これらの分子とAZ-1が結合することが推定された。AZ-1とこれらの細胞外マトリクス蛋白質との結合能を解析した結果、AZ-1は、フィブロネクチンと結合することが判明した。以上の結果は、AZ-1の機能は、フィブロネクチンとの結合能と関連することを示唆する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Mukai, K.: "Conditionally immortalized adrenocortical cell lines at undifferentiated states exhibit inducible expression of glucocorticoid-synthesizing genes"Eur. J. Biochem. 269. 69-81 (2002)
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[Publications] Mitani, F.: "The undifferentiated cell zone is a stem cell zone of adult rat adrenal cortex"Biochim. Biophys. Acta. 1619. 317-324 (2003)
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[Publications] Mukai, K.: "An Inverse Correlation between Expression of a Preprorocathepsin B-Related Protein with Cysteine-rich Sequences and Steroid 11β-Hydroxylase in Adrenocortical Cells"J. Biol. Chem. 278(印刷中). (2003)
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[Publications] Mukai, K.: "Regulation of rat steroid 11β-hydroxylase gene : suppression of transcriptional activation involving AP-1 factors through an upstream element"International Congress Series, Oxygenase and Life-Oxygenases, Oxidases and Lipid Mediators. 1233. 99-114 (2002)
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[Publications] Mitani, F: "Steroid monooxygenases as markers for studying the functionalzonation in the adrenal cortex"International Congress Series, Oxygenase and Life-Oxygenases, Oxidases and Lipid Mediators. 1233. 171-176 (2002)