2001 Fiscal Year Annual Research Report
RGS8タンパクの神経活動依存的トランスロケーションの分子機構の解明
Project/Area Number |
13680730
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
斉藤 修 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (60241262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増保 生郎 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員
小田桐 恵 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (10260308)
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Keywords | RGS / Gタンパク質 / 受容体 / 脱感作 / トランスロケーション / 神経 / プルキンエ細胞 / 小脳 |
Research Abstract |
RGSタンパクは、三量体Gタンパクの制御因子である。私たちは、脳神経系に特異的なRGS8をクローニングし、それがGi系のGタンパク応答をスピードアップする作用があることを明らかにしてきた。また、培養細胞RGS8を発現させると主に核に分布すること、活性型のGα0を共発現させGタンパク刺激を行うとRGS8がGタンパクの分布する細胞膜に移動していくことをを明らかにした。さらに、この細胞内分布制御は、そのN端配列に大きく依存したものであった。これらのことから、RGS8タンパクの細胞内分布が神経活動依存的に制御されている可能性が高く、その分布変化がRGS8の制御効率を変化させていることが予想させる。またRGS8は、小脳プルキンエ細胞に高濃度で発現しており、小脳機能に密接に関連しているのかもしれない。本研究では、RGS8タンパクの神経活動依存的な細胞内分布制御を明らかにし、その分布調節の機構、そしてその生理的な意義を解明していく。本年度は、特に以下に示したことを明らかにした。 1)RGS8トランスロケーションのGα結合依存性 本研究ではまず、RGS8の核から細胞膜へのトランスロケーションを引き起こすGタンパク刺激の特異性を検討した。培養細胞DDT1MF2にRGS8と不活性化型あるいは活性化型の各種サブタイプのGαをトランスフェクションにより共発現させ、RGS8タンパクの細胞内分布を、抗RGS8抗体を用いた蛍光抗体法で解析した。結果、RGS8は活性化型・不活性化型を問わずGαiとのファミリーとの共発現によって、細胞膜に分布するようになった。RGS8はGi系に作用することが知られていることから、RGS8がGαiファミリーに選択的に結合することにより細胞膜にトランスロケーションする機構が予想された。そこで、RGSドメイン内のGαとの反応に重要であるとされるアミノ酸に点変異を導入し、Gαに結合しないRGS8(L153F)ミュータントを樹立した。そして、このRGS8(L153F)を培養細胞DDT1MF2に発現させ、各種サブタイプのGαの共発現による細胞膜移行を再検討した。すると興味深いことに、RGS8(L153F)は、活性型のGαoによってのみ細胞膜に移行し、他のGαiファミリーによる細胞膜移行は全く見られなくなった。即ち、Gタンパク刺激に伴うRGS8の細胞膜移行の仕組みには、Gαとの結合を介した機構と、結合を必要としない、Gαoによってのみ誘導される機構の二つに機構が存在することが明らかになった(平成13年生化学会、論文投稿中)。 2)小脳プルキンエ細胞における、RGS8タンパクの分布 次に、実際にRGS8を発現しているプルキンエ細胞で、RGS8タンパクが細胞内で何処に分布しているかを検討した。まず、新生児ラットの小脳を解離・培養して、培養プルキンエ細胞におけるRGS8タンパクの分布を観察した。22日間培養したプルキンエ細胞では、RGS8タンパクは、細胞体・樹状突起に分布し軸策での分布は殆ど観察されなかった。そこでさらに、ラットの小脳の凍結切片を作成して、実際の組織内でのRGS8タンパクの分布を観察した。結果、RGS8タンパクは、組織内でも同様な分布を示し、また興味深いことに、非神経細胞では非刺激時に明らかな核移行が観察されるのに対して、プルキンエ細胞ではRGS8タンパクの分布は核から除外されていた。これらのことから、プルキンエ細胞では、RGS8タンパクを核から除外し、後シナプス膜に相当する細胞体・樹状突起の細胞膜に移動させる明らかな何らかの機構が存在しているものと考えられた(ltoh et al. BBRC287:223,2002)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yoshioka, K. et al.: "Heteromeric association creates a P2Y-like adenosine receptor"Pro. Natl. Acad. Sci. USA. 98,13. 7617-7622 (2001)
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[Publications] Itoh, M. et al.: "RGS8 protein is distributed in dendrites and cell body of cerebellar Purkinje cell"Biochem. Biophys. Res. Comm. 287. 223-228 (2001)