2002 Fiscal Year Annual Research Report
円口類ヘモグロビン、ミオグロビン分子の構造・機能・進化
Project/Area Number |
13680740
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
今井 清博 法政大学, 工学部, 教授 (50028528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 洋 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (20127294)
矢沢 洋一 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30000871)
大河内 正一 法政大学, 工学部, 教授 (90105859)
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Keywords | ヤツメウナギ / ヘモグロビン / ミオグロビン / 酸素結合特性 / 電子常磁性共鳴スペクトル / フーリエ変換近赤外線吸収 / 分子進化 |
Research Abstract |
進化的に、単量体ヘモグロビンと四量体ヘモグロビンをつなぐ位置にある円口類ヘモグロビンの構造と機能を明らかにするため、北海道と新潟県の河川で捕獲したヤツメウナギの血液を採取して、イオン交換樹脂カラムによって2つのヘモグロビン成分(Hb I、Hb II)を分離し、所定の実験を行って、下記の結果を得た。 1.精製ヘモグロビン成分の酸素結合特性 (1)酸素親和性:溶血液の親和性に比べて、Hb Iは等しいが、Hb IIはわずかに高い。 (2)Bohr効果:Hb Iには存在するが、Hb IIには存在しない。 (3)ATPの効果:両成分ともになし。 (4)蛋白濃度の効果:両成分ともに蛋白濃度が増加すると、酸素親和性が低下し、協同作用が現れる。しかし、その程度はHb Iの方が顕著である。 2.電子常磁性共鳴スペクトル (1)酸化型:g=6付近のシグナルが軸対称性のものと異方性のものの2つの高スピン種が存在し、pHの増大とともに前者が減少し、後者が増大する。pH9では低スピン型に移行することから、遠位配位子は水分子と思われる。1μM〜100μMのヘモグロビン濃度ではスペクトルの有意な差はみられない。 (2)還元型NO誘導体:ヒスチジンを近位配位子とする六配位型の特徴を示し、pH6ではg異方性が増大する。蛋白濃度に対する依存性はみられない。 3.FT-IR(フーリエ変換近赤外線吸収) 還元型一酸化炭素誘導体の吸収スペクトルに、1968cm-1(major band)と1928cm-1(minor band)の特微的な吸収帯がみられ、前者はさらに2つの吸収帯に分解できる。COの伸縮振動からみて、CO結合状態には少なくとも3種類のコンフォーマーがあること、ヘムポケットの遠位側に負電荷をもつアミノ酸残基が存在することが示唆される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Imai: "Description of hemoglobin oxygenation under universal solution conditions by a global allostery model with a single adjustable parameter"Biophys. Chem.. 98. 79-91 (2002)
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[Publications] T.Yonetani: "Global allostery model of hemoglobin. Modulation of 02 affinity, cooperativity, and Bohr effect by heterotropic allosteric effectors"J. Biol. Chem.. 277, 37. 34508-34520 (2002)
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[Publications] S.Okouchi: ""Water" desirable for the human body in terms of Oxidation-Reduction Potential (ORP) to pH relationship"J. Food Sci.. 67. 1594 (2002)
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[Publications] S.Okouchi: "Dynamics of the hydration of halogenoalcohols in aqueous solution"Bull. Chem. Soc. Japan. 75. 59 (2002)
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[Publications] B.Venkatesh: "Coordination Geometry of Cu-porphyrin in Cu(II)-Fe(II) Hybrid Hemoglobins Studied by Q-band EPR and Resonance Raman Spectroscopies"J. Inorg. Biochem. 88. 310-315 (2002)
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[Publications] S.Nagatomo: "Changes in the Abnormal α-Subunit upon CO-Binding to the β-Subunits of Hb M Boston : Resonance Raman, EPR, and CD Study"Biophys. Chem.. 98. 217-232 (2002)