2002 Fiscal Year Annual Research Report
チミンDNAグリコシラーゼ遺伝子不活化による自然突然変異生成のメカニズムの解析
Project/Area Number |
13680754
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上原 芳彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30223499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 哲也 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00107509)
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Keywords | チミンDNAグリコシラーゼ(TDG) / DNA修復 / ノックアウトマウス / 胎生致死 / 突然変異 / カテコールアミン |
Research Abstract |
マウスにおける自然突然変異の大部分は(5'-)CG(-3')部位のシトシン(C)がチミン(T)に変化したものであり、またヒトの遺伝病原因遺伝子、癌での癌抑制遺伝子の変異もその多くが同じC→T変異であることも明らかにされている。この変異の原因はCの脱アミノ化によるTへの変化とそれによって生じるG/Tミスマッチ対合部の修復ミスによると推測されるため、CG部位のG/Tミスマッチ対合部のTを特異的に除去する活性を持つ「チミンDNAグリコシラーゼ(TDG)」のノックアウトマウスを作成し、その欠損マウスでC→T変異のみが特異的に正常個体よりも増加するかどうかを調べることにより、メチル化したC(mC)の脱アミノ化が哺乳動物細胞DNAに生じる自然突然変異の原因かどうかを明らかにしようとした。 Tdg遺伝子ホモ欠失マウスの作成:複数単離したTdgヘテロ欠失ES細胞由来の生殖細胞キメラマウスをC57BL/6マウスと交配し、Tdgヘテロ欠失マウス作成した。それらヘテロ同士の交配からはホモ欠失マウスは生まれてこず、Tdgホモ欠失マウスは胎生致死であることがわかった。 Tdgホモ欠失胎児のTDG活性及び突然変異頻度:Tdgホモ欠失マウスは胎生致死であったため死亡する直前の胎齢10.5日胎児のTDG活性を測定した結果、その活性は野生型の10%以下に低下していた。さらに突然変異検出用大腸菌gpt遺伝子がゲノムに組み込まれたヘテロ欠失マウス作成し、胎齢10.5日ホモ欠失胎児での突然変異頻度を調べた結果、野生型と大きな差は見られなかった。 Tdg欠損マウスの死亡原因:ホモ欠失胎児の死亡原因が突然変異ではなかったことより、その原因解明のためにホモ欠失胎児についての生化学的解析を行った結果、カテコールアミン類の減少が見られその原因であることが示唆された。
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