2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680757
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
白形 正樹 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (70251551)
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Keywords | 複製 / ORC / EBV |
Research Abstract |
本研究はEBV複製起点oripにおける複製開始複合体を合成した複製開始因子を用いて試験管内で再構成し、その構造と各複製因子の機能を解明することにある。複製開始複合体にはEBVの複製因子であるEBNA1と細胞の複製因子MCM、cdc6が含まれる。本年度の研究では各因子をバキュロウイルスで多量に発現させ精製することを試みた。研究の進捗状況は以下の通りである。EBNA1はバキュロウイルス感染細胞での発現は確認されたが、C末端に結合したHisタグが機能せず精製に問題があった。そこで、N末端にHisタグを持つEBNA1を新たに作製しその精製を試みている。Cdc6に関しては、タンパク質の発現は確認できたが発現量が低く、その問題点を検討している。またMCMの合成は現在進行中である。来年度は複製開始複合体を合成したEBNA1と培養細胞核抽出物あるいはカエル卵抽出物を用いて試験管内で再構成することを計画している。これらの実験と平行して、oriPの複製起点としての機能をさらに詳細に検討した。その結果、。oriPの複製活性がシグナル伝達によって制御されていることが新たに判明した(J. Virol., 2001)。EBVが発現する膜タンパク質LMP1はNF-κB,MAPKなどのシグナル伝達経路を活性化することが知られているが、LMP1の発現がoriPの複製活性を抑制することを見い出した。さらにシグナル経路の同定を行ない、TRAF5とTRAF6がこのシグナル伝達に重要であることと、TRAFの下流でp38 MAPKが活性化してoriP活性の抑制に関与していることを明らかにした。EBNA1はリン酸化修飾を受けることが知られており、p38 MAPKが直接EBNA1をリン酸化してその複製活性を抑制している可能性が考えられた。そこでEBNA1のアミノ酸配列からMAPKによってリン酸化される可能性のあるアミノ酸を置換しその複製活性への効果を検討した。その結果534番目のスレオニンが複製活性に重要なアミノ酸であることを示唆する結果が得られた。来年度には、p38 MAPKがこのアミノ酸を直接リン酸化することを検討する実験を行なう計画である。
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[Publications] 白形正樹: "Novel immediate-early protein IE19 of humancytomegalovirus activates originarecognition complex I promoter ina cooperative manner with IE72"Journal of Virology. (印刷中). (2002)
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[Publications] 白形正樹: "Activation of TRAF5 and TRAF6 signal cascades negatively regulates the latent replication origin of Epsterin-Barr virus through p38 MAPK"Journal of Virology. 75. 5059-5068 (2001)
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[Publications] 白形正樹: "Replication licensing of the EBV oriP minichromosome"Current Topics in Microbiology and lmmunology. 258. 13-33 (2001)