2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680760
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
桜井 博 金沢大学, 医学部, 助教授 (00225848)
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Keywords | ストレス応答 / 熱ショック転写因子 / リン酸化 / 酵母菌 |
Research Abstract |
転写活性化因子からの転写シグナルは、仲介因子を経て、RNAポリメラーゼIIと基本転写因子から構成される転写開始複合体に伝達される。これまでの酵母菌を用いた研究により、熱ショック転写因子(HSF : heat shock factor)による熱ショックタンパク質(シャペロンなど)遺伝子の活性化には、一部の基本転写因子の機能が不要であることが示された。さらに本科学研究費により、この基本転写因子非依存的な転写活性化機構には、仲介因子[MediatorやTAF(TBP-associated factor)]が重要な役割を果たしていることを明らかにした。酵母のHSFは、外部刺激(ストレス)がない場合は不活性型に保たれているが、熱ショックや活性酸素の増加により、転写活性型に分子構造が変化し、シャペロン遺伝子などの転写を誘導すると考えられている。今年度の研究では、さまざまなストレスが、どのようにHSFを転写活性型に構造変化させるかについて検討した。 酵母のHSFは、転写不活性型から活性型に構造変化する過程でリン酸化される。このリン酸化は、HSF分子の中央にある転写抑制領域とC-末端にある転写制御領域の相互作用により制御されることを明らかにした。一方、リン酸化されない変異HSFタンパクを用い、このリン酸化は、一部のシャペロン遺伝子の転写誘導には必須であるが、他の多くの遺伝子の活性化には必要ないことを示した(論文印刷中)。さらに、HSFレギュロンの全ての遺伝子についてリン酸化の必要性を明らかにするため、酵母ゲノムDNAのマイクロアレイを用いて検討した。遺伝子間の比較により、HSFのリン酸化の必要性はHSFが結合する認識塩基配列と相関があることを見い出した。これらの結果より、ストレスによるHSFの転写活性化能力の獲得は、その結合配列とリン酸化により制御されていることが示唆された。
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[Publications] H.Sakurai et al.: "Carboxy-terminal region of the yeast heat shock transcription factor contains two domains that make transcription independent of the TFIIH protein kinase"Genes to Cells. 8・12. 951-961 (2003)
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[Publications] N.Hashikawa, H.Sakurai: "Phosphorylation of yeast heat shock transcription factor is implicated in gene-specific activation that depends on the architecture of heat shock element"Molecular and Cellular Biology. 印刷中. (2004)