2003 Fiscal Year Annual Research Report
酵母を用いたch-TOG相同遺伝子による染色体分配制御の解析
Project/Area Number |
13680779
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中世古 幸信 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (30231468)
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Keywords | 動原体 / 染色体 / がん細胞 / 染色体分配 / 酵母 |
Research Abstract |
酵母におけるヒトch-TOG相同タンパク質Dis1ならびにMtc1について以下の解析を行なった。昨年までの研究結果より、Dis1,Mtc1が微小管結合タンパク質であると同時に、分裂期特異的に動原体DNAの中央領域に結合するタンパク質であることを明らかにし、その結合因子の探索を行なってきた。 本年度の研究ではこれまでに同定したこれらの遺伝子産物と相互作用する因子の解析ならびに相互作用する因子の新たなスクリーニングを主として行なった。まずDis1を用いた酵母ツー・ハイブリッド法により分離したMal3についての解析を行なった。Mal3にクラゲ緑色蛍光タンパク質を融合し、細胞内でMal3遺伝子産物を可視化する系を構築した。その結果、免疫蛍光染色法により報告されていた結果と同じく、細胞内で微小管と共局在することが観察された。またこの系をさらに進め、生細胞内で経時観察を行なった結果、微小管、ならびに微小管に沿って点状のシグナルが観察され、さらにこれらの点状のシグナルは微小管に沿って移動しているのが観察された。この点状構造が何かは不明であり、移動する機構についてもモータータンパク質の存在、あるいは微小管のダイナミクスによるものかによるものかは不明であるが、動物細胞でも類似な現象が観察されていることから進化的に保存された共通の機構によるものではないかと考えられる。 また、Mtc1については相互作用する遺伝子を検索するため、変異株の高温感受性を相補する相補する約70クローンのプラスミドを回収した。しかしながら塩基配列の結果全てがMtc1であり、様々な遺伝子と遺伝的相互作用を受けるDis1とは状況が全く異なることが明らかとなった。 本研究の一連の解析の結果により、進化的に高度に保存された分裂酵母の2つの微小管結合タンパク質Dis1,Mtc1は、各々独立した機能制御を受けながら、微小管を介した細胞周期制御、とりわけ分裂期における微小管機能、並びに動原体機能に必須機能を持つことが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nakaseko, Y., Goshima, G., Morishita, J., Yanagida, M.: "M phase-specific kinetochore proteins in fission yeast microtubule-associating Dis1 and Mtc1 display rapid separation and segregation during anaphase"Current Biology. 11. 537-549 (2001)
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[Publications] Nakamura, T., Nagao, K., Nakaseko, Y., Yanagida, M.: "Cut1/separase C-terminus affects spindle pole body positioning in interphase of fission yeast pointed nuclear formation"Genes to Cells. 7・11. 1113-1124 (2002)
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[Publications] Fukumoto, Y., Hiyama, H., Yokoi, M., Nakaseko, Y., Yanagida, M., Hanaoka, F.: "Two budding yeast RAD4 homologs in fission yeast play different roles in the repair of UV-induced DNA damage"DNA repair. 1・10. 833-845 (2002)