2002 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胎仔唾液腺上皮の形態形成におけるEGFファミリー分子群の機能解析
Project/Area Number |
13680806
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中西 康夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40022636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桧枝 洋記 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30243132)
東山 繁樹 愛媛大学, 医学部, 教授 (60202272)
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Keywords | マウス唾液腺 / 形態形成 / 上皮-間充織相互作用 / EGFファミリー / HB-EGF / neuregulin / マウス乳腺 / 雄乳腺 |
Research Abstract |
これまでの主として唾液腺上皮の形態形成運動の解析から、上皮細胞、間充織細胞ともに高い運動性を持っていることが明らかとなっており、それへのEGFファミリー分子の関与が検討されてきた。今回、EGFファミリー分子のひとつであるneuregulinの唾液腺での発現、さらにこのファミリー分子群の細胞膜からの切り出しに関与すると考えられている酵素の阻害剤を用いた乳腺形態形成に与える影響などについての結果を報告する。 (1)EGFファミリー分子群のなかでもHB-EGF以外に強い発現が観察されているのはneuregulinであった。neuregulinには1から4までのタイプがあり、さらにαやβなどのサブタイプが存在する。今回の唾液腺原基での探索ではneuregulin1、2、3が見出され、RT-PCRなどでneuregulin1にはα型もβ型も存在することが明らかとなった。neuregulin1の受容体であるErbB3が唾液腺上皮に存在することは既に明らかになっていたが、1αの抗体で蛍光染色を行ったところ間充織に発現していることが明確になった。また、このneuregulin1αの合成ペプチドや1αへの抗体の存在下で唾液腺原基の培養実験を行ったところ、この成長因子が唾液腺上皮の形態形成に関与していることが明らかとなった。 (2)マウスなどの乳腺形成は、雌雄で大きな差があることはよく知られていた。特にマウスの場合、胎齢13日までは雌雄差は見られないが、14日目になると雄の乳腺原基は精巣から分泌される雄性ホルモンの影響で、表皮と繋がる上皮部分が切断され、乳腺として未発達のままに終わることが知られていた。今回、EGFファミリー分子群の細胞外への分泌を阻害すると考えられる試薬OSU8存在下で培養実験を行ったところ、雄乳腺の退縮現象が明確に阻害された。このことは、成長因子であるEGFファミリー分子群のが唾液腺のみならず乳腺においてもその器官形成に関与していることを示している。 (3)EGFファミリー分子の細胞模型からの切り出しに関わる酵素群は、ADAMと呼ばれる一群の酵素群でその内でもADAM12などの関与が強く示唆された。
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[Publications] Nanba, D., Nakanishi, Y., Hieda, Y.: "Establishment of cadherin-based intercellular junctions in the dermal papilla of the developing hair follicle"Anat. Rec. PartA270A. 97-102 (2003)
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[Publications] Iwamoto, R., Higashiyama, S., et al.: "HB-EGF and ErbB signaling is essential for heart function"Pro. Natl, Acad Sci. U.S.A. (In Press). (2003)
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[Publications] Frank G.D., Higashiyama, S., et al.: "Distinct mechanism of receptor and nonreceptor tyrosine kinase activation by reactive oxygen species in vascular smooth muscle cells : role of metalloprotease and protein kinase C"Mol. Cell. Biol. 23. 1581-1589 (2003)
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[Publications] Umeda, Y., Miyazaki, Y., Shiinoki, H., Higashimaya, S., Nakanishi, Y., Hieda, Y.: "Involvement of heparing-binding EGF-like growth factor and its processing by metalloproteinases in early epithelial morphogenesis of the submandibular gland"Dev. Biol. 237. 202-211 (2001)
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[Publications] Nanba, D., Nakanishi, Y., Hieda, Y.: "Changes in adhesive properties of epithelial cells during early morphogenesis of the mammary gland"Dev. Growth & Differ. 43. 535-544 (2001)