2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経接着分子L1による軸索突起伸長の分子機構の解明(細胞内分子輸送とシグナル伝達系)
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13680857
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上口 裕之 理化学研究所, 発生・分化研究グループ, 上級研究員 (10233933)
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Keywords | 神経接着分子 / L1 / N-カドヘリン / 軸索 / 成長円錐 / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
神経軸索先端部(成長円錐)の運動性は、軸索突起伸長さらには神経回路網形成に重要な役割を担っている。神経軸索に発現する接着分子であるL1とN-カドヘリンは、いずれも成長円錐の移動を促進することが知られている。本年度は、成長円錐の移動過程における神経接着分子の細胞内輸送の機能的意義を明らかにした。L1は成長円錐中心部(後部)でエンドサイトーシスされ、先端部へ輸送された後その形質膜へリサイクルされる。一方、成長円錐でのN-カドヘリンのエンドサイトーシスは検出されず、おそらくN-カドヘリンは細胞表面の輸送経路でリサイクルされることが示唆された。成長円錐中心部でエンドサイトーシスされるL1量とL1依存性軸索伸長との間には正の相関が認められた。L1エンドサイトーシスはクラスリンアダプター分子AP-2を介することが知られており、AP-2のサブユニット(αアダプティン)に対する機能阻害抗体を脊髄後根神経節神経細胞内に導入することにより成長円錐でのL1エンドサイトーシスを抑制した培養系を確立した。次に、L1のリガンドをコートしたマイクロビーズを光ピンセットを用いて形質膜上へ接触させることにより、成長円錐前後方向でのL1依存性細胞接着の極性(先端部での強い接着と後部での弱い接着)を定量した。抗αアダプティン抗体を導入した神経成長円錐では、L1依存性細胞接着の極性が損なわれており、またL1依存性の成長円錐移動速度・軸索伸長能も有意に低下していた。しかし、抗αアダプティン抗体導入は、N-カドヘリン依存性の成長円錐移動・軸索伸長には有意な影響を及ぼさなかった。以上の結果より、軸索成長円錐におけるL1細胞内輸送は、成長円錐の運動制御および接着性の空間的制御に関与していることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)