2001 Fiscal Year Annual Research Report
海馬神経細胞シグナル伝達におけるRasファミリーGTPaseの機能解析
Project/Area Number |
13680860
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
服部 成介 国立精神・神経センター, 神経研究所・診断研究部, 室長 (50143508)
|
Keywords | 海馬神経細胞 / Ras / Rap1 / MAPキナーゼ / アデノウイルスベクター / GTPase-activating protein |
Research Abstract |
MAPキナーゼは種々の細胞外刺激で活性化されるセリンスレオニンキナーゼであり、細胞増殖シグナル伝達において重要な役割を果たすことが示されている。海馬スライスを用いた電気生理学的な実験から、シナプス長期増強(long-term potentiation : LTP)成立に必須の機能を果たすことが知られているが、その活性化機構については不明であった。培養細胞系では主に低分子量GTP結合タンパク質RasがMAPキナーゼ活性化シグナルのおもな中継因子であること、しかし、神経細胞のモデル系として用いられているPC12細胞ではRas類似の低分子量GTP結合タンパク質であるRap1がMAPキナーゼ活性化を担う因子であることが示唆されている。 そこで海馬神経細胞の初代培養細胞を用いてMAPキナーゼ活性化機構を研究した。RasおよびRap1のMAPキナーゼ活性化における機能を評価するため、各々の抑制性因子であるGap1mおよびRap1GAPをアデノウィルスベクターを用いて海馬神経細胞内で発現した際のMAPキナーゼ活性化を検討した。その結果、Gap1m発現によりRasの機能を抑制した神経細胞においては、NMDA、KCl脱分極、BDNFいずれの刺激においてもMAPキナーゼ活性化は著しく抑制された。これに対し、Rap1GAPの発現によるRap1の抑制はほとんど効果を示さなかった。これらの結果は、海馬神経細胞においてMAPキナーゼを活性化する種々のシグナルはいずれもRasを経由して伝達されること、またRap1はMAPキナーゼ活性化には寄与しないことを示している。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Iida, N., Namikawa, K., Kiyarna, H., Ueno H., Nakamura, S., Hattori S.: "Requirement of Ras for the activation of mitogen-activated protein kinase by calcium influx, cAMP, and neurotrophin in hippocampal neurons"J. Neurosci. 21・17. 6459-6466 (2001)