2001 Fiscal Year Annual Research Report
層特異的な視床皮質投射の形成を担う膜結合型因子に関する研究
Project/Area Number |
13680870
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 亘彦 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (00191429)
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Keywords | 大脳皮質 / 視床 / 軸索誘導 / 標的認識 / 遺伝子発現 / 層特異性 / 領野 / ラット |
Research Abstract |
大脳皮質における層特異的な視床皮質投射形成の分子メカニズムの解明を目的に、2/3層から4層あるいは4層に特異的に発現する遺伝子の探索を行なった。 大脳皮質の6層構造が形成された生後7日目のラット脳切片を用いてスクリーニングした結果、皮質4層を中心に強く発現する2つのクローン(#571,#585)とまた2/3層から4層にかけて強く発現する2つのクローン(#746,#846)が得られた。第4層に強い発現が見られたクローン571は、netrinレセプターと似た構造をもつ分子であるのに対して585番は既知分子との相同性がなく、新規分子であると考えられる。一方、2/3層から4層にかけて強く発現していたクローン746番と846番はそれぞれmast cell growth factor(MCGF)とmyocyte specific enhancer factor 2C(MEF-2C)に高い相同性が見られた。これら4個のクローンは大脳皮質の広い領域にまたがって発現が見られたが、571番と746番は特に体性感覚野と視覚野に比較的強く発現していた。それに対して、585番と846番は大脳皮質全体に強く発現していた。次に以上4個のクローンと視床皮質投射の形成との関連性を調べるために、発生を追って発現パターンを調べた。その結果、二つのクローンが興味深い発現を示した。クローン571番の発現部位はどの時期においても4層細胞の位置とよく合致していた。一方、クローン746番は、視床ニューロン軸索が大脳皮質内で伸長する時期に、深層での発現が次第に弱くなり、代わりに表層での発現が徐々に強く現れ、成長する視床ニユーロン軸索の先端の位置との間に相関が見られた。以上の結果より、2/3層から4層にかけて特異的に発現する遺伝子を得ることに成功し、またその内の2つは視床皮質投射の形成に関連していることが示唆された。
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