2002 Fiscal Year Annual Research Report
運動プログラムのカテゴリー化と汎用化使用に関する脳内神経機構
Project/Area Number |
13680891
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Research Institution | Tohoku university |
Principal Investigator |
嶋 啓節 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60124583)
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Keywords | 前頭前野 / カテゴリー化 / 細胞活動 / ニホンザル |
Research Abstract |
複数の動作で構成される一連の行動を計画するとき、脳は多様な複数動作の組み合わせをカテゴリー化し、その概念を利用することによって行動のプログラミングを行っている可能性がある。今回の研究ではそのカテゴリー化と概念形成が前頭前野で行われているという仮説をたて、細胞活動を記録することによってそれを検証した。 実験動物としてニホンザルを用い、「押す」、「引く」、「回す」の動作が可能なマニピュランダムに前腕を固定し、動作を4回連続して行なわせ、それを1試行とした。3種類の動作のうち任意の1-2種類の動作を3つのパターンで行なわせた。複数運動パターンは3種類あり"交互パターン"は:回す・押す・回す・押す、回す・引く・回す・引く、押す・回す・押す・回す、および、引く・回す・引く・回すの4種類とした。"ペアーパターン"は:回す・回す、・押す,・押す、回す・回す・引く・引く、押す・押す・回す・回す、引く・引く・回す・回すの4種類とした。"単一パターン"は:回す・回す・回す・回す、押す・押す・押す・押す、引く・引く・引く・引くの3種類とした。すなわち、全部で11種類の複数動作をサルに行なわせた。各動作の開始信号は音刺激によって与えられ、各動作終了後マニピュランダムは受動的に元の位置に戻され、サルは次の動作の開始信号を待つ。実際にサルが行うべき4つの動作の順序は最初視覚誘導性に記憶させ、次に視覚情報なしの記憶依存性に行わせる。 課題を90%以上で遂行できるように訓練した後、無菌的手術を行い記録部位にチェンバーを取り付け、前頭前野からの細胞活動の記録を行った。 241個の課題関連細胞のうち、77個の細胞は最初の運動の開始前に顕著な活動を示した。そのうち、60%以上は3種類の運動パターンに関連した活動を示した。この結果は前頭前野が課題の認知的側面に深く関わっていることを示している。
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[Publications] Tanji, J., Shima, K., Matsuzaka, Y.: "Reward-based planning of motor selection in the rostral cingulate motor area"Adv.Exp.Med.Biol.. 508. 417-423 (2002)
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[Publications] Sawamura, H., Shima, K.Tanji, J.: "Numerical representation for action in the parietal cortex of the monkey"Nature. 415. 918-922 (2002)
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[Publications] 澤村裕正, 嶋 啓節, 丹治 順: "サルの頭頂連合野における動作回数情報の表現"実験医学. 20. 1333-1335 (2002)
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[Publications] Wang, Y., Shima, K., Isoda M., Sawamura, H., Tanji, J.: "Spatial Distribution and density of prefrontal cortical cells projecting to three sectors of the premotor cortex"NeuroReport. 13. 1341-1344 (2002)
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[Publications] Shinomoto, S., Shima, K., Tanji, J.: "New classification scheme of cortical sites with the neuronal spiking characteristics"Neural Networks. 15. 1165-1169 (2002)