2001 Fiscal Year Annual Research Report
運動負荷停止に対する骨のリモデリング-海綿骨骨梁の力学的特性試験装置の開発-
Project/Area Number |
13680937
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
藤江 裕道 工学院大学, 工学部, 助教授 (20199300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 紘三郎 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (90026196)
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Keywords | 皮質骨 / 海綿骨 / リモデリング / 運動負荷停止 / 構造強度 / 材料強度 / 異方性 / ラット |
Research Abstract |
生体の運動を機構的に保証している骨には大きな負荷が生じるため,骨におけるリモデリング現象は,整形外科およびバイオメカニクスの領域で以前から重要視されてきた.また,近年の手術手技やバイオマテリアルの飛躍的な進歩は,一方では骨への力学的作用を大きく変化させる可能性を有するために,不適当なリモデリングが生じて生体機能を損なう恐れのあることが明らかになってきた.これらの問題を解決する一助として,本研究では負荷の減少に伴うラット皮質骨および海綿骨の力学的特性および形態の変化を定量的に把握する方法を開発し,骨のリモデリングのメカニズムを探ることを目的とした. 1)ラットを対象とした運動付与装置の製作 ラットに跳躍運動および走行運動を行わせるための電気刺激装置を設計製作した.足部底面に微弱電流を与える仕組みとし,運動を行わせるのに適当な条件を予備実験により決定した. 2)大腿骨および海綿骨のマイクロ力学試験 大腿骨および海綿骨骨幹端部の皮質骨および海綿骨の力学特性を調べるための,圧縮力学試験装置を製作した.装置の駆動には既設の圧縮引張り試験機を用いた. 3)未成熟ラットを対象とした実験 未成熟ラットに対し,1)で製作した装置を用いて運動負荷を与えた.その後,適当な時間が経過した後に大腿骨,脛骨を採取し,骨幹部に対しては2)の力学試験を行い,骨端部に対しては2)の力学試験およびマイクロCT装置を用いた形態学的な観察・解析を行った. 4)結果 骨幹部では運動負荷とともに骨量が増大し,構造強度(破断荷重)と材料強度(接線係数)も増加した.負荷を停止すると骨量と構造強度は高値を維持したが,材料強度は比較的早期に正常値に戻った.骨端部では運動負荷により皮質骨と海綿骨がわずかに減少し,負荷停止後は両骨ともにわずかに増大した.また,負荷により高まった海綿骨の異方性は負荷停止後も高いままであった.さらに,これらの反応は,負荷が大きいぼど変化が大きかった.
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