運動負荷停止に対する骨のリモデリング-海綿骨骨梁の力学的特性試験装置の開発

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13680937
• Research Institution: Kogakuin University
• Principal Investigator: 藤江 裕道 工学院大学, 工学部, 助教授 (20199300)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 林 紘三郎 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (90026196)
• Keywords: 運動負荷と運動停止 / 骨のリモデリング / 皮質骨と海綿骨 / 骨梁 / 形態計測 / 骨の力学的特性

Research Abstract

本研究では,骨格的に成熟したラットの下肢に作用する力学的負荷を15週間の走行運動により増大させた後,力学的負荷を停止して通常状態に戻した.運動中の0,3,7,15週,および運動停止後の16,22,30週(運動停止後1,7,15週)にラットを屠殺して,脛骨を採取した.運動負荷と運動負荷停止に対する骨のリモデリング反応を,脛骨皮質骨の形態計測と力学試験,および骨幹端部の海綿骨の形態計測により調べた.また,これらの計測,試験と並行して,海綿骨の力学的特性を求める押し込み試験法とせん断試験法を開発し,海綿骨骨梁の力学的特性分布を求めた.その結果,以下のことが明らかになった.
1)骨幹部皮質骨は,運動負荷に対しては材料特性をわずかに向上させて適応し,運動停止後は材料特性を正常状態に戻して適応する.一方,骨幹端部海綿骨は,運動負荷に対しては骨梁幅を不変のままに保ち,骨梁数を減少させることによって骨量を減少させ,運動停止後は骨梁数を増加させて骨量を緩やかに増加させる.
2)骨幹部皮質骨及び骨幹端部海綿骨の運動負荷に対する反応は成熟度にあまり依存しないが,運動停止に対する反応は成熟度に依存し,成熟骨では未成熟骨よりも反応が鈍い.
3)運動負荷と運動停止に対する海綿骨の反応は皮質骨よりも鋭い.
4)海綿骨の力学的特性は新たに開発した押し込み試験法とせん断試験法で調べることができる.
5)海綿骨梁のせん断強度は骨梁位置に依存し,皮質骨周辺に位置する海綿骨の方が強度が高い.

Research Products

• [Publications] 藤原泰介, 森本 尚, 藤江裕道, 林紘三郎: "力学的負荷の変化に対する成熟ラット大腿骨の反応"第28回日本臨床バイオメカニクス学会抄録. 127 (2001)
• [Publications] 前 達雄, 史野根生, 中田 研, 堀部秀二, 藤江裕道, 他: "ACL再建術後の膝安定性:ハムストリング腱と骨付き膝蓋腱間の比較"第29回日本臨床バイオメカニクス学会抄録. 108-108 (2002)
• [Publications] Fujie, H., Suzuki, Y., Ota, M., Mabuchi, K.: "Coefficient of Start-Up Friction of Early Stage Osteoarthritic Cartilage is not Larger Than Normal Cartilage"Advances in Bioengineering. BED-53. IMECE2002-IMECE32607 (2002)