2002 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波を用いた乳がん組織の高精度可視化に関する理論的研究
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13680943
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
田中 充 大分大学, 工学部, 教授 (30091341)
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Keywords | 電磁波逆散乱問題 / 可視化アルゴリズム / 非線形最適化 / 正則化 / 共役勾配法 / 時間領域差分法 / GCV関数 / 遺伝的アルゴリズム |
Research Abstract |
本年度の研究目的は,非線形最適化法に基づく時間領域電磁波逆散乱問題の精密な解法を提案して高精度可視化アルゴリズムを開発するとともに,電磁波逆散乱問題の解析で有効な正則化法について基礎的検討を行うことである。本年度の研究成果は,以下に示す通りである。 1.電磁パルスを用いて不均質性の強い誘電体円柱の比誘電率を推定する時間領域逆散乱問題について考察した。散乱電界を導出する順問題の解析では時間領域差分法を適用し,比誘電率を推定する逆問題の解析では非線形最適化法の1つである共役勾配法を用いた。入射波のパルス幅を変化して数値的検討を行い,比誘電率の推定精度が観測点の個数に強く依存することを明らかにした。 2.1回あるいは3回微分ガウシアンパルス及びモノサイクルパルスを入射したとき,誘電体円柱の比誘電率の推定精度について比較検討を行った。1回あるいは3回微分ガウシアンパルスを用いた場合については,散乱電界に関する汎関数の収束に若干の差が生じるが、再構成結果はほぼ一致することが分った。また,モノサイクルパルスを用いた場合が汎関数の収束が最も早く,比誘電率の推定精度が最も良くなることが示された。 3.誘電体円柱の周波数領域逆散乱問題の解析に共役勾配法を適用したとき,正則化の効果について検討を行った。正則化パラメータの決定では,従来のGCV(Generalized cross-validation)法及びGCV関数の曲率半径の絶対値を最小にする方法を採用した。2つの方法に基づく数値シミュレーションを行い,後者の手法は従来のGCV法と比較して,高速且つ高精度な推定結果を与えることを明らかにした。 4.層状キラルスラブの最適な媒質パラメータを推定する周波数領域逆散乱問題について考察を行った。反射電界及び透過電界に関する汎関数の最適化に遺伝的アルゴリズムを適用し,所望の偏波変換特性を示すフィルタが得られること示した。
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[Publications] 田中 充, 松成 洋一, 白木原 太, 清水 達浩: "光CTによる生体組織の可視化"大分大学VBL年報. 第2号. 93-100 (2002)
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[Publications] 清水 達浩, 田中 充: "光CTにおける逆散乱問題の解析"電気学会電磁界理論研究会資料. EMT-02-101. 53-58 (2002)
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[Publications] M.Tanaka: "Convergence acceleration of a reconstruction algorithm in electromagnetic inverse scattering problem"JSAEM Studies in Applied Electromagnetics and Mechanics. 14. 155-162 (2003)
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[Publications] 楠 敦志, 田中 充: "遺伝的アルゴリズムによる偏波変換フィルタの最適設計"電気情報通信学会論文誌C. J86-C・2. 198-199 (2003)
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[Publications] A.Kusunoki, M.Tanaka: "Design consideration of polarization-transformation filters using a genetic algorithm"IEICE Trans. Electronics. E86-C・8(未定). (2003)