2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13710003
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
納富 信留 九州大学, 人文科学研究院, 助教授 (50294848)
|
Keywords | ソフィスト / 弁論 / ゴルギアス / アルキダマス / プラトン |
Research Abstract |
本年度は、前五〜四世紀ギリシアにおけるソフィスト思潮について、歴史的・社会的基盤をおさえつつ、彼等の思想背景を探ることから始めた。 (1)ソフィストに関する資料について、従来のディールス・クランツの『ソクラテス以前の哲学者断片集』に依拠する際の問題点を検証した。個々のソフィストについて、例えば、プロタゴラスのように極端に断片資料が少ないケースには、その理由を、ゴルギアスのように比較的多い場合は、その伝承を確認した。また、前四世紀のソフィストで、従来の編集から外れていたアルキダマスについて、その研究文献とテクストを調査した。 (2)ゴルギアスの残された著作『ヘレネ頌』『パラメデスの弁明』を検討し、「弁論(レトリック)」を中心としたr言葉(ロゴス)」に対する彼の理論を検討した。また、ゴルギアスの弟子で弁論家アルキダマスの『書かれた言葉を書く人々について、あるいは、ソフィストについて』という論考を詳細に検討し、前五〜四世紀における「即興演説」と「書物」との関係を、ソフィストの社会活動という面から考察した。 (3)紀元後三世紀のソフィスト・フィロストラトスの『ソフィスト列伝』に描かれる、古典期ソフィストたちの活動の特徴を整理した。 (4)今後の方向を視野にいれて、ソフィスト研究の位置づけを、関連する他分野即ち、歴史、文学や、とりわけレトリック研究との関係から検討した。 (5)二〇〇一年八月には、イスラエルでこの分野の専門研究者たちと意見交換し、これまでの本研究について有益なコメントを得た。
|
Research Products
(2 results)