2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13710006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 浩之 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (60322773)
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Keywords | 出土資料 / 竹簡 / 帛書 / 周易 / 帰蔵 / 卜筮 / 国際情報交換 / 中国 |
Research Abstract |
昨年度の三回の研究報告を踏まえて、調査・考察した成果を、主に以下の二篇の論文に纏めた。 1「王家臺秦墓竹簡『歸藏』の研究」 2「無小と無大、善と不善-『帛書周易』二三子篇に關する考察二則」 上記の論文に纏めた内容の概要は次の通りである。 戰國末期以降の『周易』卦爻辭への卜辭の添附・追加は、單に注解のためだけではなかったようだ。阜場漢簡『周易』の形態は、卜に使う龜の入手困難や卜筮の普及と簡易化などの要因のために、筮が(簡便に)卜の代用にもなり得るような形態であり、より實用的な占書の形態を呈しているのかもしれない。それはいわば、卜筮併用から卜筮代用へという趨勢である。(そしてそれは、もう一つの趨勢である馬主堆帛書『周易』のような、多くの傳を附されて思想・哲學の書へと変貌する形態とは、まるっきり異なる方向である。)王家臺秦簡『歸藏』の場合は、『周易』の六十四卦の卦臺(及びその卦名)を兆形の代用としている、と考えられるのである。これも卜筮併用から卜筮代用へという趨勢を示す形態の一種と言えよう。 傳本『歸藏』に惑わされなければ、秦簡『歸藏』、阜陽漢簡『周易』、帛書『周易』の卦臺・卦名はすべて同じ一つの『周易』に由來するものであると言える。秦簡『歸藏』が一見、『周易』とは異質なものに見えたのは、すでに論じたような卜筮代用の構造になっていたからである。秦簡『歸藏』も阜陽漢簡『周易』も、ひいては帛書『周易』も、そしてきっと上海博物館所蔵戰國楚簡『周易』も、現在までに確認されている『易』に関係するすべての出土資料は、同じ『周易』の流れを汲むものである。それらの出土資料は、戰國期から漢初にかけての『周易』が一方では實用的な占卜・占筮に、一方では思想・哲学にと様々な形態で利用され、決して今本『周易』の形態だけに固定していたわけではないことを物語る。けれども、その源泉は一つであると言える。今のところ、『連山』『歸藏』などの別の源泉からの流れを考える必要はない。
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Research Products
(2 results)