2002 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシア多民族都市環境におけるエスニック・チャーチの動向に関する宗教学的研究
Project/Area Number |
13710009
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
木村 敏明 弘前大学, 人文学部, 講師 (80322923)
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Keywords | インドネシア / トバ・バタック / キリスト教 / 祈り / 説教 / 都市社会 / シンクレティズム / 儀礼 |
Research Abstract |
平成14年度の研究は、研究計画に従い、平成13年に文献研究に基づき明らかにしたインドネシアの公認宗教政策に関するマクロレベルの動向を踏まえた上で、トバ・バタック移民社会における価値観の変動と再編の様相およびエスニック・チャーチのそれへの関与を、実態調査に基づいたミクロレベルの分析で明らかにすることを試みた。平成13年度に二回、今年度に一回インドネシア共和国北スマトラ州のメダン市においておこなった調査では、主にトバ・バタック移民社会における(1)教会での日曜集会、(2)各種互助組合の祈祷会、(3)人生儀礼をとりあげ、都市社会におけるそれらの変容に関する基礎的なデータを集めつつ、一方でそれらの場面におけるキリスト教式の「祈り」「説教」を録画録音して収集するという作業をおこない、帰国後テープおこしと翻訳をおこなったうえでそれらの分析をおこなった。 その結果、1.都市社会の「近代的」生活が彼らの価値観を個別化・多様化していく一方で、各種互助組合などが中心になりその再編を試みる動きが存在していること(論文2)、2.それら互助組合の結成が上記の公認宗教政策がメダンに浸透していった時期と重なり、それゆえにキリスト教とエスニシティという異なった原理に基づく組織となったこと(論文1)、3.具体的な価値観の再編の場面を遺族慰撫儀礼をめぐる親族間の葛藤と、キリスト教的祈りを通しての再統合のプロセスにおいて検討し、象徴操作の専門家としての教会長老による「死」の意味づけの変更がそこで決定的な役割を果たしていること(論文3)、が明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 木村 敏明: "メダンにおけるトバ・バタックの互助組合について-その宗教的側面の一考察"『人文論叢(人文科学篇)』弘前大学人文学部. 7号. 25-34 (2002)
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[Publications] 木村 敏明: "トバ・バタックの結婚儀礼とサハラ信仰-メダンにおけるその変容"『宗教研究』日本宗教学会. 332号. 73-95 (2002)
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[Publications] 木村 敏明: "病と死に関する意味付けの諸相とダイナミズム-シ・パエッ・パエッ儀礼における祈祷と語りの一事例をめぐって"『医療化社会の思想と行動』医療化社会研究会論集. 1号. 113-127 (2002)