2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13710031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
薬師神 玲子 青山学院大学, 文学部, 講師 (30302441)
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Keywords | 視知覚 / 選択的注意 / 二重課題 / 統計的効率 / 理想的観察者 |
Research Abstract |
本研究の目的は,選択的注意課題に効率分析を適用することにより,注意の状態と情報利用率との関係を特定し,そこから注意と処理資源配分及び処理の効率化との関係を量的に導くことである.さらに,刺激に含まれる手がかりの質(saliency)や量を操作することによって,トップダウン過程である注意とボトムアップ的な処理過程との関係についても検討する.その結果を基に,視覚情報処理過程に関する統合的なモデルの構築を目指す. 本年度は,トップダウン的な選択的注意課題にいて検討を行った.具体的には,パターンの全体的な形状を判断する課題と,局所的な形状を判断する課題の2つを平行して行う状況(2重課題状況)を設定し,各課題の達成により得られる効用(得点)を変化させることによって,課題への注意配分を様々に操作した場合の各課題の統計的効率を算出・比較した.その結果,選択的注意を高めた一方の課題については,当該課題に対する統計的効率の上昇が見られたのに対して,選択的注意が向けられなかった課題については,統計的効率には変化が見られなかった.このことより,選択的注意は,決まったリソースを単に配分するというよりもむしろ,全体の情報処理容量を増やす働きを持つことが示唆された.なお,この実験結果は,日本心理学会第66回大会で発表する予定である. 今後の研究では,今年度検討を行ったトップダウン的な注意配分と,ボトムアップ的な処理との相互関係を中心に研究を進めていく.
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