2001 Fiscal Year Annual Research Report
乳児の顔知覚発達の成立要因を検討する実験的研究(早産児と満期産児の比較実験)
Project/Area Number |
13710039
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山口 真美 中央大学, 文学部, 助教授 (50282257)
|
Keywords | infant(乳児) / perception(知覚) / face(顔) / Subjective contour(主観的輪郭) / Shading |
Research Abstract |
生後1ヶ月から8ヶ月までの乳児を対象とし,「顔のプロトタイプ形成」にかかわる成立要因を調べる実験を行った.顔知覚の面からは「逆さ顔の知覚」,知覚の成立の観点からは「主観的輪郭の知覚」,「陰影の知覚」,「眼球運動(OKN)」などの発達課題を調べることとした. 「主観的輪郭の知覚」に関しては,生後3ヶ月の乳児で主観的輪郭図形に対する好みが形成されることが判明し,既にこの月齢から乳児が主観的輪郭線を知覚している可能性が示唆された.これは従来の知見と比べ速い知覚形成を示唆するものである.さらに,生後3カ月は主観的輪郭の構成する動きに,生後5カ月では形そのものに敏感になることが判明した. 「陰影の知覚」に関しては,生後5ヶ月から陰影を付けた物体が近づくことを知覚できることが判明し,従来の知見と比べ速い知覚形成を示唆するものであった. プラッド運動図形を乳児に見せ眼球運動を調べたところ,生後2カ月児から大人と同様な眼球運動が見られ,プラッド運動を知覚できることが判明した. 「逆さ顔の知覚」に関しては,逆さ顔どうしは正立顔どうしよりも弁別されやすいことが判明した.生後5カ月でヒトの顔の逆さ顔,生後7カ月でネコの顔の逆さ顔を区別できることが判明した.逆さ顔が優先ということから,乳児の観察方向による顔の学習効果の重要性を示唆し,かつヒトとネコの顔で同様の結果が見られたことから幼い段階からヒトとネコの顔を同一化して処理している可能性を示唆するものであった. 以上の様々な知覚発達の結果をもとに,「顔のプロトタイプ形成」との関係を検討していく.
|
Research Products
(1 results)