2001 Fiscal Year Annual Research Report
学級崩壊現象の背景となる生徒側の心理、そして学校臨床心理士による支援の可能性
Project/Area Number |
13710079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Gunma Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
田中 志帆 群馬県立女子大学, 文学部, 講師 (30325980)
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Keywords | 学級崩壊 / 小学生 / 中学生の攻撃性 / 教員像 / 臨床心理士 / 支援の方法 |
Research Abstract |
学級崩壊現象の背景となる児童・生徒の心理、学級崩壊現象に学校臨床心理士が介入する際に、どのような援助が可能であるかを調査することが本研究の目的である。今年度は、まず、中学生574名を対象にして中学生の抱いている学校の教員像と、生徒自身の攻撃性傾向の関連について調査を行った。次に、第2段階として、小学生児童のどのような言動が学級崩壊現象と見なされるのかについて尺度項目を作成した。そしてそれらの共通要因を探索するため、大学生135名を対象に調査を行った。さらに、臨床心理士は学級崩壊現象をどのように定義し原因を推測しているのか、支援の方法について集合調査と郵送調査を行い、305名の回答を得た。得られた知見は以下の通りである。(1)中学生の抱く教師像には二つの要素があり、『よき大人としてのモデル』と『塾講師にまさる価値』であると推測された。塾講師にまさる価値を認めているか否かは、生徒の攻撃性とほとんど関連が無かった。むしろ、他者に敵意を抱く傾向のある生徒ほど、よき大人として教員を見ていないことが考えられた。よって、塾等の教育サービス機関の発展に伴い、生徒達の学校教員の見方が変化している故に学級崩壊が生じるという見解のみで原因を判断するのは、適切でないと推察された。(2)学級崩壊現象とみなされる小学生の言動にはおよそ5つの共通要素があると考えられた。それは「集団行動の乱れ」「子どもがえりの行動」「授業中の抑制が効かない」「けんかや暴力の多発」「教師の指示に動じない」である。(3)臨床心理士による学級崩壊の定義は様々であるが、大まかには教員のリーダーシップが失われる状態という回答が挙げられていた。支援の方法としては、子どもに対しては遊戯療法や気持ちや言い分に耳を傾けるカウンセリング、保護者には学校との協力や相互理解を高める支援、教員には自信を取り戻せるようなサポート作りを挙げる傾向があった。
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Research Products
(1 results)