2001 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害者の単独歩行に伴う心理・生理的ストレス反応と歩行に及ぼす影響
Project/Area Number |
13710081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
鈴木 伸一 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (00326414)
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Keywords | 視覚障害 / ストレス / 音源定位 / 心拍率(HR) / 皮膚電気活動(EDA) |
Research Abstract |
1.研究の目的 視覚障害者の道路横断時に生じる心身のストレス状態を明らかにするとともに,各種ストレスが歩行にどのような影響を及ぼすかを検討することを目的とした. 2.対象 視覚障害者およびアイマスクにより視覚を遮断した晴眼者13名. 3.手続き 市街地域の音響式誘導設備が設置された横断歩道(道幅11.6m)を利用し,単独横断時の生理的反応(心拍率,皮膚電気反射:トーヨーフィジカル社製生体情報計測装置),心理的反応(POMS不安・緊張尺度),騒音音圧(Rion社製騒音計),横断軌跡,横断方向の見失い(内観)を測定した(各被験者とも8試行). 4.結果と考察 道路横断時の各指標の変化を検討した結果,心拍率は横断直後から上昇し,横断中後半にピークを示し,対岸到着前に下降する傾向にあった.皮膚電気反射は,横断直後から上昇し,横断中前半にピークを示し,その後も比較的高い状態が維持されていた.歩行軌跡は,ゼブラゾーン内を歩行し対岸へ到達するパターン(横断良好群)と,横断中盤からゼブラゾーンを大きく逸脱するパターン(横断不良群)との2つに大別された. 次に,騒音音圧変化と生理的反応の変化との対応を検討した結果,皮膚電気反射は騒音の変化に対応した変化パターンを示し,心拍率は騒音変化と逆の変化パターンを示した.このことから,皮膚電気反射は,騒音に伴う情緒的な反応成分を反映し,心拍率は音源定位などの認知的活動を反映している可能性が示唆された. さらに,歩行軌跡と各指標との関連を検討した結果,横断良好群は横断後半から心拍率,皮膚電気反射ともに低下傾向を示すのに対し,横断不良群は横断終了まで比較的高い値が維持されていた.また,横断不良群は良好群に比べて,歩行時間および方向見失い率が高かった.このことから,横断時のストレスは横断方向の定位能を抑制し,歩行成績を悪化させる可能性があることが示唆された.
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