2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13710083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
岩壁 茂 札幌学院大学, 人文学部, 助教授 (10326522)
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Keywords | 臨床心理学 / 心理療法 / カウンセリング / 治療関係 / 作業同盟 / 治療過程 / 治療効果 |
Research Abstract |
カウンセリングにおける治療者とクライエントの関係は、作業同盟という概念によって理論化され、感情的な絆と治療作業に関する合意を基礎とした協力関係として理解されている。本研究の目的は、(1)作業同盟がどのように確立されるか、また、クライエントと治療者の見方のずれがカウンセリングの効果とどのように関係しているかという問題を明らかにすることである。本研究のデータは、被験者は治療者とクライエント48組から集められた。作業同盟の水準の変化を査定するためにWorking Alliance Inventory(WAI)を使用した。WAIは「絆」、「治療目標」と「作業課題」の3つの下位尺度からなる自己報告式の質問紙である。カウンセリングセッションがクライエントにとって有益であったかどうか調べるためにSession Impacts Scale(SIS)を用いた。SISは3つの尺度からなり、カウンセリングの正の効果と負の効果を計測する。カウンセラーとクライエントは1回約50分の面接を週1回、約10ヶ月間行った。WAIの評定は、両者別々に2,3セッション終了後ごとに、SISの評定は毎セッション後に行った。 現在までに、作業同盟がどのように変化するのか、また治療者とクライエントの見方のずれが解消されるのか、大変量分散分析を行い、検討した。その結果、(1)クライエント、治療者の2者による作業同盟評定水準は、治療段階の進展に従い上昇した。(2)絆の評定は、作業課題と治療目標の評定値よりも有意に高かった、(3)2者の見方のずれは治療段階によって変化しなかった。今後は、時系列の変化をより精度の高い統計法を使ってモデル化を行うとともに、作業同盟に問題があったセッションの内容分析に取りかかる予定である。
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