2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13710099
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 宏 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 助手 (50322780)
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Keywords | インド / 学校教育 / 不就学 / 社会階層 |
Research Abstract |
今年度の研究計画は、インド政府統計の再分析と2回の現地調査、またその成果を中間報告として学会にて公表することであった。 現地調査は、平成13年8月22日から同年9月17日まで、および平成14年2月23日から平成14年3月25日までの期間(含む移動期間)で実施した。平成13年中の調査では、調査対象の3地域(都市部、郊外、農村部)のうち、都市部における三つの初等学校を対象にして子どもの親と学校経営者に調査票を配布し、これまでに、一校分約400ケースの集計・分析を完了した。平成14年中の調査では、郊外、農村部の初等学校で調査票を配布し、分析は次年度を予定している。 ここまでの調査結果からは、インドの地方都市の都心部における初等学校の基本的性格(認可形態、公的補助の受け方、就学費などから)、子どもの世帯の階層的位置(職業、所得、教育要求などから)などが明らかになった。今年度は都市部に限ったデータしか分析しておらず、科研費補助を受けて行った調査の成果からのみでは、まだ、地域比較や学校間比較ができないが、先行する調査研究や自身の予備調査の知見、インド政府によって実施されたサンプルサーベイの結果にその調査結果を位置づけるならば、インドの地方都市において初等学校就学に関する世帯の経済的負担は小さくないことが分かった。この点については引き続くデータ分析と現地調査によってさらに裏づけをとる必要があるが、一定以上の所得・職業階層になければ就学は難しいという本研究のおく仮説を部分的に支持しているといえる。 平成13年10月に開催された(於・沖縄県宜野湾市)日本社会福祉学会にて、中間報告として「インドにおける児童労働と義務教育不就学」と題し口頭報告を行った。この報告では、不就学の要因をめぐる最新の研究動向の整理、第50回National Sample Survey(インド政府による標本調査)の再分析結果、現地調査の見通しなど公表した。
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