2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13710106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
荻野 達史 静岡大学, 人文学部, 助教授 (00313916)
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Keywords | 引きこもり / メディア・イメージ / 言説分析 / 社会問題 / 民間活動 / 社会運動 / 精神保健福祉 / テクスト分析 |
Research Abstract |
本年度は、分析対象となるメディア・データを限定するために、「問題」カテゴリーを一つに絞り込むこと、またそのために具体的な問題対応活動(団体)の選定と調査対象者たちとの関係形成を行うこと、この二点に時間がかけられた。申請時点では、「いじめ、不登校、引きこもりなど」とゆるやかに対象を設定していたが、こうした問題群から研究目的により適合的な性質を備えた「問題」や活動を探索・選択することが必要であった。 最終的には、「引きこもり」に関わるメディア・テクストを分析対象とし、またある民間活動をフィールドワークの対象として選定するに至った。ただし、絞り込みの過程では、「いじめ」に関わる団体(「いのちの電話」活動、CAP活動の数団体)についてもインタビュー調査・活動観察を行い、「引きこもり」対応活動についても注目される観点が得られた。スタッフの育成システム、資金面で活動を可能にするための組織構成、地域他機関・他民間団体とのネットワーク化、特にCAP活動では、メディア情報によって期待を変化させる外部利用者との折衝、利用者によるエンパワーメント思想の理解・受容など、これらの局面に関わる当該団体の経験と問題点が、そうした観点になりうる。 「引きこもり」に関しては、東海圏の1団体、関東圏で5団体、東北圏で1団体について主宰者への聞き取り調査、および幾つかの団体に関しては「親の会」、あるいはフリースペースでの観察を行い、当事者たちとの関係形成に努めた。また、厚労省が主催する、福祉行政職員への研修会に参加するなど、福祉システムにおける対応の組織構造と基本的思考についても観察を開始した。予備的段階ではあるが、調査データとメディア・テクスト・データを検討した結果、行政-民間団体間、民間団体内に「ひきこもり」、「家族/親」、「学校/社会」、あるいは対応方法についての言説に相当の断層が認められた。
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