2001 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀プエルトリコにおける独立論とアイデンティティ形成
Project/Area Number |
13710117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
阿部 小涼 琉球大学, 法文学部, 助教授 (00292722)
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Keywords | プエルトリコ:米国 / 国際社会学 / 島嶼地域研究 |
Research Abstract |
本研究は「非独立」状況にあるプエルトリコの独立論について、20世紀初頭から1930年代頃までを中心として歴史・思想的系譜を再検討することを目的としている。初年度に当たる平成13年度は、在米プエルトリカンの独立論に焦点を絞って、移民コミュニティの形成されたニューヨークにおけるプエルトリカンの資料、米国ナショナル・アーカイヴズに収められたプエルトリコへの福祉政策関係の文書を収集し通読・分析することに主眼を置いた。その他、関連する複数冊の研究書も入手した。 ニューヨーク市立大学ハンター校は米国におけるプエルトリコ研究の拠点であるが、そのプエルトリコ研究センターにおいて、移民コミュニティのなかに見られた独立思想に関する一次資料、20年代初頭に出版されている図書を収集した。なかでも、著述家にして杜会運動を指導したヘスス・コロンの思想的系譜を辿るための個人文書の収集は、人種意識・階級意識と独立思想の複雑な相関を知る上で非常に有益なものであった。 また米国ナショナル・アーカイヴズ所収のプエルトリコ経済再建局文書の一部分を収集した。ここでは、なかでも農地改革・自営農育成プランなどから30年代当時の米国による福祉政策投下に直面した現地プエルトリカン知識人の政治意識、これに深く関与した米国人官僚の植民地観を知ることの出来るドキュメントを多数入手することが出来た。 以上の研究成果の一部は、複数の研究会・シンポジウムでの報告において言及し、討論を重ねることで今後の分析の精緻化のための端緒が得られた。来年度は、今回の調査で所在が明かとなった未入手の文書資料を追加収集しつつ、これら資料から得られた分析の成果を、雑誌論文、博士論文の一部として執筆し発表する計画である。
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