2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13710211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古松 崇志 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (90314278)
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Keywords | 遼宋金時代 / モンゴル時代 / 正史 / 歴史編纂 |
Research Abstract |
10〜13世紀の東アジアの歴史を理解するためにその根本史料となるのが、14世紀元代中国において編纂された『遼史』『金史』『宋史』の三史である。13年度には、三史の編纂事業に関する研究に着手し、元代中国で書かれた関連文献を広く収集し、史料データ入力作業を行った。その中で、モンゴル帝国が金を滅ぼした直後の一二三四年に脩端なる人物が記したとされる「辮遼宋金正統」という文章の言説を特に取り上げ、現代日本語による訳注を作成し、その内容および文章が作られた周辺状況を詳細に検討した。その結果、モンゴル政権による歴史編纂事業の推進過程においてこの言説が極めて重要な影響を及ぼしたということが明らかになった。この言説の内容についてはまだ詰めきれていない部分がいくつかあり、今後さらに研究を進めたうえで近く論文を発表する予定である。次に、元代中国江南で編纂された『勅修百丈清規』という禅宗寺院で用いられる規則集についての研究を行った。その結果、この清規の編纂はモンゴル皇帝及び政権要人と深い関係を結んだ禅僧によって政権の全面支援を得て行われたものであり、そして日本にもいち早く伝えられ、日本禅宗の制度の形成過程において大きな役割を果たしたことが分かった。また編纂が行われた時期は『遼史』『金史』『宋史』三史が編纂された時期と近く、その研究により三史編纂が行われた元代中国の政治・文化状況をより深く理解することができるようになった。この研究についても、近く論文を発表する予定である。このほか、遼・宋・金時代の重要文献の精読も同時に並行して行った。これは現在のところ研究の基礎段階にとどまる。さらにこの時代の東アジアの歴史を考えるうえで看過し得ない場所である河西回廊に関わる文献の収集`解読をすすめ、そのうち元代カラホト文書の訳注を発表した。
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Research Products
(1 results)