2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13710236
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大坪 志子 熊本大学, 文学部, 助手 (90304980)
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Keywords | 韓国先史時代勾玉 / コの字型勾玉 / 管玉 |
Research Abstract |
本年度は、国内外の出士資料について実測等を行ない製作の過程や意匠について比較検討を行なった。 国内の資料については、特に勾玉の発生について注目し、「コの字型」と呼ばれる縄文時代の勾玉について、実測を中心とした観察を行なった。この結果から縄文時代の勾玉と呼ばれるものは、従来どおり動物の牙を模した曖昧に屈曲したものと、コの字型のように頭部や腹部の加工状況を観察し、明確に腹の抉りを意識して製作されたものに分けられると考えられる。これは、短に牙からの発生ではなく手本となるものがあったものと考える。 これと関連して、朝鮮半島において日本で製作されたとされる所謂丁子頭勾玉以前の段階の、松菊里遺跡などで見られる玉との関連について検討した。韓国で先史時代の勾玉とされるものは、わが国のコの字型と腹部の抉りの形状が異なるものの、板状のものからやや厚みが出て立体化し、年代的に空白があるが、望山里遺跡出土品のように、平らなものがコの字型の原形ではないかと考える。これらと弥生時代の勾玉の関係については、日韓の玉が立体化する画期と杜会背景を検討することが今後の課題である。また、管玉は韓半島でも両面穿孔が多く穿孔技術に再検討が必要である。 また、わが国の、特に東北地方において頻繁に言われる中国東北地方との玉器について検討を試みた。紅山文化に見られるような動物をかたどった具象的で立体的な玉器は、周辺地域への拡散は乏しいように思われる。北陸や東北地方における玉作りについては形状が類似するものもあり日本海を越えた地域との関連は考えられるが、既に指摘があるように沿海州地方との関連の検討が必要である。また、これらと西日本の縄文時代の玉とは違うように感じられる。東日本から西日本への玉文化の拡散が唱えられもするが、国内での一方向の玉の発生と拡散を考えるよりは分離して検討するべきと考える。
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