2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13710307
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
那須 昭夫 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (00294174)
|
Keywords | オノマトペ / 韻律構造 / アクセント / 最適性理論 |
Research Abstract |
日本語オノマトペのアクセント構造について定量的な語彙調査に基づく分析を行い,次の知見を得た。第一に,アクセント核を担うフット(主要部フット)の位置によりオノマトペの韻律構造が主要部始端型と主要部末端型の二つの類型に分類できることを明らかにした。第二に,末端型の構造では語形成に伴つてアクセントの再計算が起こる一方で,始端型の構造では構成要素の語彙アクセントが継承されるという違いが生じていることを明らかにし,両者のアクセント生成のしくみを語彙音韻論的なモデルとして階層化した。第三に,末端型の構造を持つオノマトペは形態論的な分類の枠を越えて語形成上の類縁関係を持つことを明らかにし,助詞を韻律化した領域を仮定することで,一般的な韻律制約(Nonfinality)を満たす形でアクセント計算が起こることを理論的側面から明らかにした。第四に、始端型構造に生じる継承型アクセントがオノマトペ以外の語種にも現われることを捉え,オノマトペと一般語種の構造上の相似性が主張できることを,従来にない新たな考察として示した。 これらの成果は雑誌論文に発表したほか,現在作成中の博士学位論文においてもさらに広汎な研究成果を公表する予定である。また,現在印刷中の論文において,始端型と末端型の語形成上の相違に関する分析結果が公表される見通しになっている。なお,学位論文は来年度初めに提出の予定である。 上記に加え,現在,オノマトペと一般語種とを併合したアクセント計算モデルについて研究を進めている。韻律構造や語種のタイプを越えた統一的なアクセント計算理論を構築することが狙いで,語彙データの検証を既に終えて理論の構築に取り掛かっているが,制約序列交替の理論を導入することにより,上述の狙いが成功することが確実な段階に入っている。
|
Research Products
(1 results)