2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13710312
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
大野 仁美 麗澤大学, 外国語学部, 助教授 (70245273)
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Keywords | 親族動詞 |
Research Abstract |
研究初年度に当たる平成13年度においては、まず親族動詞に関する一般的考察を深めるために、親族名称および親族体系に関する資料の収集とその分析を進めた。またすでに親族動詞が記述されているオーストラリア原住民語についてその詳細を学び中部コイサン語との比較対照を開始した。その結果、これら親族動詞をもつ言語間でそれを形態論的に支える項目は一貫せずさまざま存在することがわかり、言語の類型から親族動詞の存在を追求するのは困難であることが主張できるのではないかと考えるようになった。なおこれらの研究の実施に際しては、オーストラリア・メルボルン大学およびラトローブ大学タイポロジーセンターを訪問し、そこでのセミナー参加および研究発表をおこなった。また親族動詞の存在は従来よりも広い範囲で確認されつつあり、研究代表者自身はコイサン諸語における親族動詞の存在の確認・その分布、さらに記述および比較を進めている。現在は記録の残っている死語の資料と、ナミビア国で話されている中部コイサン諸語の親族体系について情報を二次的に収集しているが、動詞としての親族名称のふるまいの確認には至っていない。また来年度はボツワナで話されている中部コイサン語であるグイ語の親族動詞にかんする研究発表をドイツ・ケルン大学アフリカ学研究所主催の国際コイサンシンポジウムで行うことによってコイサン諸国における親族動詞について広く情報交換をすすめる予定である。
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