2001 Fiscal Year Annual Research Report
印欧語インド語派諸言語の文法的性格とその文化・歴史的文脈
Project/Area Number |
13710317
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
山部 順治 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 講師 (00330598)
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Keywords | 文法 / 意味 / インド / オリッサ / オリヤ語 / 日本語 |
Research Abstract |
インド・オリッサ州で話される印欧語インド語派の言語、オリヤ語について、文法的諸側面の事実を記録・整理した。そして、これで得られた資料に基づき、次の2点の解明を主な目的として考察を行った。第一は、個別言語の文法を、意味をどのように表出するかにかんして性格付け(類型化)すること、第二は、文法の性格を、言語を取り巻く文化的文脈と歴史的文脈に位置づけることである。言語・文化・社会を一全体像としてとらえうる概念的枠組の構築に、言語学の立場から貢献を目指す。 資料を採集するために、12月〜1月に、オリッサ州カタックでオリヤ語の文法にかんするフィールドワークを行った。この調査では主に、母国語話者2人と毎日面接を持ち、これに加えて補助的に、ほかの母国語話者数人に随時意見を求めた。複数の話者の協力を得ることで、同一言語社会内における変異をある程度明らかにできた。また、この渡航の機会に、出版物などから有形の資料を入手したほか、大学・研究所で研究者と情報を交換した。 過去数年間に上述と同様の目的と手法で行ってきた研究を発展させ、論文2篇に成果を発表した。うち1篇では、対象物が言語で表現されるさいに、表現対象物と表現主体とがどのように関わってくるかにかんして、オリヤ語の特徴を、英語の対応する表現と対照しながら、指摘した。他1篇では、出来事の種類の範疇化にかんして、オリヤ語とシンハラ語がある特徴を歴史的に獲得したことを指摘し、この変容の動機付けとして、言語構造という内的なものと、(オリヤ語については加えて)異系統の言語との接触という外的なものを示唆した。 インド語派の言語の研究と平行して、これと同様の目的と類似の手法で、日本語の研究を行った。この成果を公表したものは、論文4篇(うち1篇は予定)である。そこでは、多数の話者の協力を得て事実を収集し、日本語の文法の性格、とくに補助動詞の語彙的意味について見解を提示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Junji Yamabe(山部順治): "Subjectivity and objectivity in the grammar of Oriya"南アジア研究(日本南アジア学会). 13. 161-182 (2001)
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[Publications] Junji Yamabe(山部順治): "A grammatical change in Indo-Aryan languages : Emergent uses of the verb of becoming in the middle domain"ノートルダム清心女子大学紀要 外国語・外国文学編. 26・1. 55-70 (2002)
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[Publications] 山部順治: "補助動詞「もらう」の意志性について"ノートルダム清心女子大学紀要 日本語・日本文学編. 26・1. 1-22 (2002)
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[Publications] 山部順治: "岡山市とその近郊の若者の日常生活語における、補助動詞「おく」「おる」の文法的使い分け"ノートルダム清心女子大学紀要 文化学編. 26・1. 14-36 (2002)
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[Publications] 山部順治: "主動詞事態の認識者の位置を表す用言"Immaculata (ノートルダム清心女子大学英語英文学研究会). 6. 117-134 (2002)
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[Publications] 山部順治(2002年5月発行予定): "岡山市とその近郊の日常生活語における、補助動詞「おく」の用法:「スイカは、冷えとかにゃーおいしくないよ」"日本方言研究会 第74回研究発表会発表原稿集. (2002)