2001 Fiscal Year Annual Research Report
12世紀イングランドにおける重罪聖職者をめぐる裁判実務と法理の形成
Project/Area Number |
13720006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
苑田 亜矢 北海学園大学, 法学部, 講師 (80325539)
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Keywords | 重罪聖職者 / コモン・ロー / カノン法 / ギルバート・フォリオット / ベケット論争 / ヘンリ二世 |
Research Abstract |
12世紀イングランドにおける重罪聖職者をめぐる国家(俗権)と教会(教権)の関係およびコモン・ローとローマ・カノン法の法理形成を、1154年に起きた大助祭オズバートによるヨーク大司教ウィリアムの毒殺事件を主たる考察対象としてこれに関係する史料群を検討することにより、解明することを目的とする本研究が、今年度に達成できたのは以下に示す諸点である。 今年度は、主として、1154年のヨーク大司教ウィリアムの毒殺事件に関する研究史を整理し、国内では入手不可能な史料についても収集を進めながら史料ひとつひとつを丹念に読みかつ理解することに多くの時間を費やした。 その結果、第一に、1154年のヨーク大司教ウィリアムの毒殺事件に関する研究史について、D・ノウルズ(1936年)、C・H・タルボット(1950年)、A・モーリー(1952年)、C・N・L・ブルック(1955年)、H・G・リチャードソン&G・O・セイルズ(1963年)らの研究をふまえて整理することができた。 第二に、本研究において光を当てるべきギルバート・フォリオットに関連する史料を含む、重罪聖職者に関係する史料の主要なものについて、そのほぼ全てを精読することができた。 第三に、国内では入手不可能な未刊公史料を中心に、ケムブリッジ大学図書館、オクスフォード大学ボドリアン図書館、ランベスパレス図書館において史料を収集することができた。これらの図書館で入手することができた史料の中でも、重罪聖職者の取り扱いについて定めた1164年のクラレンドン法(Constitutions of Clarendon)が収録されている複数のマニュスクリプトについては、入手により可能となった詳細な史料分析を加えることにより、12世紀イングランドのコモン・ロー世界におけるクラレンドン法の意味に関して大いに示唆を得ることができた。
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