2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13720017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
君塚 正臣 関西大学, 法学部, 助教授 (80266379)
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Keywords | 家族 / 憲法 / 日本国憲法24条 / 非摘出子 / 再婚禁止期間 / 性差別 / 婚姻 / 同性愛 |
Research Abstract |
奨励研究(A)初年度にあたり、憲法、家族法、労働法、社会学、教育学等の文献を集め、また主要論文を複写し、精読を進めた。その第一段階において、「家族」についての最重要憲法条文である憲法24条についての言及が、憲法学・家族法学共にあまりないことを発見し、これまでの議論の停滞を示し、加えてその理由を考察する研究を行い、論考「日本国憲法24条解釈の検証-或いは「『家族』の憲法学的研究」の一部として」を完成させ、関西大学法学論集52巻1号(2002年)への掲載が決定した。ここでは、憲法学説の憲法24条が多岐にわたり、それを社会権であると捉える見解が一世を風靡した後、現在では平等権の特別法的存在と捉える見解が圧倒的に多数ではあるが、その根拠を明確にしたものはなく、より複合的な権利として捉える見解が様々な立場から提唱されつつあることを示した。加えて、民法(家族法)学説においても、当初は私法である民法が憲法の拘束を受けることに理解が薄かったが、世代交代と共に個々の条文の合憲性に注意する立場が強まり、家族法体系の憲法との調和を再考する立場が登場してきたことを示した。但し、憲法学と民法学は連係した動きはなく、本研究の志向する状況がなお萌芽にとどまることもまた判明したのである。また、平行して同研究の中でもこれまで非嫡出子差別問題と共に焦点であった、女性の再婚禁止期間(民法733条)の合憲性の問題について、判例研究「女性の再婚禁止期間の合憲性」を執筆し、久貴忠彦=米倉明=水野紀子編『家族法判例百選』〔第6版〕(2002年)への掲載が決定している。いずれも2002年度前半に刊行される予定である。今後は、法学以外の研究成果も加味して憲法解釈についての私見を示し、それによって民法等の解釈がどうなるかを示すことが課題である。
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Research Products
(2 results)