2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13720066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三宅 浩之 九州大学, 大学院・法学研究院, 講師 (60315041)
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Keywords | 中国 / 文革 / 保守派 / 保皇派 / 武闘 / 産業軍 / 赤衛隊 / 百万雄師 |
Research Abstract |
本年度は、研究の第一段階としての資料収集による情報の獲得・整理をおこなった。主として、『新編紅衛兵資料』(Center for Chinese Research Materials, "A New Collection of Red Guard Publications", 1999)全20巻を導入し、本研究の具体的対象である「保守派」組織による刊行物の確認・整理に従事した。本資料集は、先に同資料センターより刊行された『紅衛兵資料』(正・続、1975年)全36巻の補遺として位置づけられるものであり、総頁数約1万頁に及ぶものである。また、75年版資料集と異なり、諸団体の刊行物が比較的まとまって収録されており、諸団体の全体的性格、方向性等を、その運動の経緯にしたがって確認することが可能である。具体的には、本研究の具体的対象となる諸団体のうち、上海市において活動した「赤衛隊」の機関誌である『革命戦闘快報』、武漢市において活動した「百万雄師」の『百万雄師』などを確認すると共に、全資料の記述内容から当該の「保守派」団体の行動記録を獲得・整理する作業を行った。作業に関しては、研究代表者がおもに訳読を担当し、電子データ化について年度末にアルバイトを依頼して行った。研究計画期間の制限があるとはいえ、本資料集の膨大な内容を整理しているため、現在ほぼ8割ほどのデータ化が終了した段階である。これらの整理作業は、本年度末に一時的に集約され、九州歴史科学研究会機関誌『九州歴史科学』に掲載される予定である。また、資料集内容に対する作業の進捗程度に伴い、本年度予定していた現地聞き取り調査は、来年度初頭に延期した。 現在における本研究にかかわる作業の暫定的結論として、(1)従来、諸外国において紹介されていた「保守派」関連資料の量的制限、あるいは欠如部分の多さによる全体的把握の困難性・資料としての信頼性の低下、などの問題点を一定程度解決しうるデータを獲得し得たこと、(2)いわゆる「保守派」団体の活動が、従来指摘されてきた規模・範囲よりも広範にわたるものであり、また従来定説的に認識されていたよりも、長期にわたって組織的活動が行われているということ、(3)既存の共産党組織の紐帯、地域的紐帯といった地域の特性を反映する活動が確認されること、等の指摘が行い得るが、現段階では、当時の政治的コンテクストを中心とする諸情勢との相対比較を行っていないため、未だ暫定的と言わざるを得ない。
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