2001 Fiscal Year Annual Research Report
近代イギリスの対バルト海貿易とバルト海内交易の関係に関する研究
Project/Area Number |
13730058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
玉木 俊明 京都産業大学, 経済学部, 助教授 (10288590)
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Keywords | バルト海 / ロシア / 第一次産品 / イギリス / オランダ / スウェーデン / グーツヘルシャフト / アムステルダム |
Research Abstract |
近代のバルト海地方(ロシアも含む)は、一般に西欧への第一次産品の輸出地域として知られる。近代のバルト海地方にとって、西欧の主要な取引相手国は、イギリスとオランダであった。 イギリスにとって、バルト海地方は、商業革命に必要な船舶必需品--亜麻・麻・ピッチ・タール・木材・鉄など--を供給した地域であった。近代イギリスの帝国主義的拡張には、バルト海地方からの輸入品が不可欠であった。 一方オランダにとって、バルト海地方との貿易は、「母なる貿易(moederhandel)」と呼ばれ、オランダ経済に極めて大きな影響を与えていた。1666年において、アムステルダム取引所の資金の4分の3は、バルト海貿易に投じられていた。17世紀中葉にオランダが黄金時代を迎えた要因の一つに、対バルト海貿易があったことはいうまでもない。さらにオランダ史から見れば、18世紀末に至ってもバルト海地方は非常に重要な貿易相手地域であり、オランダが長年にわたりヨーロッパの経済大国であった理由の一つも、この地域との貿易にあった。 18世紀後半になると、オランダよりも、イギリスの方がバルト海地方からの第一次産品の輸入が多くなる。一方オランダに目を向けると、グーツヘルシャフトの輸出品である穀物は、18世紀にはほとんどこの国にに輸出された。グーツヘルシャフトの発展とオランダの貿易ネットワーク形成は、不即不離の関係にあった。 バルト海内交易に関しては、スウェーデン船の活躍が目立った。すなわち、バルト海地方と西欧との取引はイギリスのロシアからの第一次産品輸入が目立ったのに対し、バルト海内交易では、バルト海南岸の港からスウェーデンへの穀物輸出が増大したのである。
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