2001 Fiscal Year Annual Research Report
中小製造業の技術創造に関する研究―構造転換期における競争優位の源泉を探る―
Project/Area Number |
13730086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
弘中 史子 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (10293812)
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Keywords | 中小企業 / 製造業 / 技術 |
Research Abstract |
平成13年度は、中小製造業がいかにして技術創造を実現していくかについて、下記のように理論的・実証的両面の研究手法をとって検討した。まず理論的側面からは、イノベーション論、ものづくり論、中小企業論、戦略論等といった本研究に関連のある分野について書籍・ジャーナル・電子媒体から文献・データを収集しレビューを行った。実証的側面からは中小製造業へのヒアリング調査・工場見学に加え、技術創造において参考になると思われる大企業へのヒアリング調査・工場見学、先端技術が集結する見本市見学を実施した。また急速なグローバル化の進展が構造転換に絡んでいることに鑑み、台湾での海外調査も行った。 技術創造については、本年度は顧客関係および複眼的技術者といった要因を中心に扱った。顧客関係については、日本の中小製造業が顧客関係マネジメントを充実させることで継続的な技術力向上が期待できることに着目した。現状では親企業も含めた納入先との顧客関係をうまくマネジメントできていないケースが見られるが、それをどのように工夫すれば技術創造に結びつけられるのかについて具体的手段も含めて検討した。 他方で複眼的技術者については、コンカレント学習という概念を用いながら分析を試みた。企業が扱う技術は製品技術・製造技術とも多様になってきているが、これらをうまく組み合わせて市場に投入する製品に具現化することが競争優位を得る一つの鍵になる。ここで重要な役割を果たすと思われるのが複眼的技術者であり、その育成手法を探った。 研究成果の一部は、所属する学会において発表した。さらに顧客関係のマネジメントおよび複眼的技術者についての分析は学術誌に投稿および執筆中である。今後は他の要因も加えてさらに技術創造についての検討・考察を深める所存である。
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