2001 Fiscal Year Annual Research Report
新興企業向け証券市場における会計・監査問題に関する研究
Project/Area Number |
13730110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
音川 和久 神戸大学, 経営学研究科, 助教授 (90295733)
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Keywords | 新規株式公開 / 経営者利益予測 |
Research Abstract |
1.日本経済の重要課題であるベンチャー企業の育成・発展を資金調達面から支援する新興企業向け証券市場における会計・監査問題を検討するのが本研究の目的である。今年度は、こうした証券市場が新規株式公開の場として重要な役割を担っていることに鑑み、新規株式公開時に企業が公表する業績予想の特性を明らかにするために、様々な角度から実証的な分析を展開した。 2.日本の店頭株式市場において1990年代に株式を新規公開した企業727社をサンプルとした実証分析の結果を要約すれば、以下のとおりである。(1)売上高の予測は楽観的(予測値>実績値)であるのに対し、経常利益や当期純利益などの会計利益については悲観的(予測値<実績値)に行われる傾向があること、(2)しかし海外の新規公開企業や日本の既存上場企業の業績予想と比較すれば不正確な予測値が提供されているわけではないこと、(3)さらに過去の会計数値に基づく単純な時系列予測よりも正確であること、(4)業績変動、予測期間の長さなどが予測情報の正確性を決定する要因であることが析出された。 3.このような業績予想の特性を理解することは、当該情報を利用した投資意思決定の精度を向上させるという効果をもたらし、証券市場の更なる活性化に寄与するものと期待される。現在は、新規株式公開後の市場流動性(株式売買の活発さ)を規定する要因、新興企業向け証券市場が新たに要請した四半期財務報告の有効性について探究している。
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Research Products
(1 results)