2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740015
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
隅田 浩樹 広島大学, 総合科学部, 助手 (90291476)
|
Keywords | ガウス和 / 円単数 / イデアル類群 / 円分体 / 岩澤不変量 |
Research Abstract |
本研究では、代数体における基本的な対象である円分体のイデアル類群をGauss和と円単数という特殊元を用いて詳しく解析する手法を開発し、実際に計算機を用いて多くの実例について調査した。 本研究以前に、イデアル類群の上からの評価を得る方法がKraft-Schoof、市村-筆者、栗原らによって得られており、総実代数体の円分Z_<p->拡大におけるイデアル類群のp-部分は有界であろうというGreenberg予想の判定に用いられた。しかしながら、この方法のみでは位数について正確なデータを得ているとは確証できなかった。特に多数の実例を計算する場合には、誤りを含む可能性が高くなる。 本研究の成果は、Gauss和を巧みに用いることによって効率的にイデアル類群の構造を厳密な意味で求めることが可能になったことである。この計算において高速化にとって重要な部分は、巨大次数の多項式や巨大数の掛け算で用いられる巡回畳み込みの技法である。 新しい手法を用いて、計算機によりQ(√<f>,ζ_p+ζ^<-1>_p),1<f<200,5【less than or equal】P<10000(ζ_pは1の原始p乗根)の範囲で円分Z_<p->拡大の3つの岩澤不変量を求めることができた。この値はQ(ζ_p+ζ^<-1>_p)のイデアル類群の位数はpと素であろうというVandiver予想と関係しており興味深い。Washingtonらによってこの種の体のイデアル類群が非自明になるかどうかの確率がnaiveに与えられていたが、今回の実験では基本的にそれを指示する結果が得られた。
|