2001 Fiscal Year Annual Research Report
正則関数空間上の合成作用素のJordan型モデル理論に関する研究
Project/Area Number |
13740092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡邉 恵一 新潟大学, 理学部, 助教授 (50210894)
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Keywords | 正則関数空間 / 合成作用素 / Coクラス |
Research Abstract |
有限次元空間上の線形作用素は行列として表現され,Jordan標準形の理論は最も基本的で重要なものである.以下,作用素は全て可算無限次元Hilbert空間上の有界線形作用素を意味するものとする.作用素は,有限次元の場合より遥かに複雑な現象とかかわっている.有界な作用素はノルムで割り算すると縮小作用素となり,dilation理論等によって深く研究されているが,Jordan標準形の理論に相当する程の解明は,幾つかの特別なクラスを除いては,遠く達成されていない. 一方,具体的な空間の上で具体的に構成される作用素は,構成法に即して研究することができるが,その最も自然で興味深いものの一つは,複素平面の開単位円板上の正則関数をシンボルとする合成作用素である. このとき,合成作用素をノルムで割って縮小作用素にしたものの完全非ユニタリ部分がいわゆるクラスCoに属するためのシンボルの条件を明らかにし,その時のJordanモデルをシンボルの言葉で明示的に求めることが目的であった.ここで完全非ユニタリな縮小作用素がクラスCoとは,開単位円板上のある有界正則関数によるSz. Nazy-Foiasのカルキュラスが0となることである. クラスCoのサブクラスとしてalgebraicがある.これはある多項式に"代入"すると0となるような作用素のクラスである。上記目的の準備段階として,シンボルが多項式の場合にいつ合成作用素がalgebraicとなるかという問題が自然に生じる.その必要十分条件を,多項式の係数が満たすべき連立1次方程式で完全に記述した.この結果は,残念ながら,驚くようなものではなかった.
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