2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土井 靖生 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (70292844)
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Keywords | 遠赤外線 / 検出器 / 2次元アレー |
Research Abstract |
我々は、波長50〜200μmの遠赤外線波長帯の検出器として現在最も高い感度を持つ圧縮型Ge:Ga検出器の、多素子且つ稠密なアレー検出器化の為の基礎開発を行っている。 昨年度までに我々は、より大規模なアレー検出器を実現するための、Ge:Ga素子サイズの小型化、ピストンを用い、より多くの素子に対し安定な加圧を行うための、加圧装置の開発を行った。 今年度はこれに引き続き、Ge:Ga素子に遠赤外線を効率良く導くためのライトパイプ及びキャビティ構造の検討を行った。Ge:Ga検出器に関するこの種の検討はこれまで殆んど行われておらず、且つその検討は全て幾何光学的なものであった。しかしGe:Ga素子サイズが0.5mmと、遠赤外線波長の数倍〜10倍程度となると、幾何光学的な検討だけでは不十分で、光の波としての性質まで考慮した解析が不可欠である。この為我々は今回初めて、この検討に際し有限要素法を用いた電磁波解析を行った。その結果、以下の内容が明らかとなった。 ・赤外線入射部の構造は、ウィンストンコーンの簡易版として一般に用いられている角錐ホーンとウィンストンコーンとの間には効率面で開きがあり、ウィンストンコーンを用いる利点は大きいこと ・Ge:Ga素子を納めたキャビティのとGe:Ga素子サイズの比は、Ge:Ga素子への遠赤外線の吸収効率を決める上で重要な要素であり、その比の選び方によって効率に2倍以上の差を生ずること ・キャビティ形状についても、これまでに一般に用いられている円筒形状よりも、Ge:Ga素子の形状に合わせた角柱形状、更には角柱の角を円弧で結んだ形状を採用することにより、更に数割程度の好効率化が見込めること 現在、以上の結果をまとめた成果報告を準備中である。更にこの解析結果を適用した、新しい構造の試験用キャビティ、ライトパイプの製作中である。製作されたキャビティの効率を試験する事により、我々の検討結果の有効性を実験的にも実証する。この実証実験は今後半年程度の間に行う予定である。その実験結果を受け、その後本格的な素子数の検出器の製作を行う予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yasuo Doi, et al.: "Large-format and compact stressed Ge:Ga array for the ASTRO-F (IRIS) mission"Advances in Space Research. Volume 30 Issue 9. 2099-2104 (2002)
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[Publications] Hiroshi Shibai, et al.: "FIRBE: FAR-INFRARED BALLOON-BORNE EXPERIMENT"Advances in Space Research. Volume 30 Issue 5. 1289-1295 (2002)
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[Publications] Sin'ichiro Makiuti, et al.: "Diffuse Far-infrared [CII] Line Emission from High Galactic Latitude"Astronomy and Astrophysics. 382. 600-609 (2002)