2002 Fiscal Year Annual Research Report
赤外線天体スペクトルの相互比較による自動分類とスペクトル成分の抽出
Project/Area Number |
13740131
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Research Institution | Institute of Space and Astronautical Science |
Principal Investigator |
山村 一誠 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究系, 助手 (40322630)
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Keywords | 赤外線スペクトル / 晩期型星 / 赤色巨星 / 恒星大気 / 星周縁 / 質量放出 / ISO / IRTS |
Research Abstract |
本研究は、赤外線宇宙天文台ISOに搭載された短波長分光器SWSおよび赤外線宇宙望遠鏡IRTSによって得られた進化末期にある恒星のスペクトルの自動比較解析を行い、(1)赤外線スペクトルを元にした組織的な分類を行う、(2)詳細な定量解析から、恒星進化と大気構造について新しい知見を得る、の2点をねらいとしている。 二年計画の研究の第二年度に当たる2002年度行った主な研究は、以下の通りである。 1.赤外線宇宙望遠鏡IRTSに搭載された中間赤外線分光器MIRSの点源天体カタログの検証と公開に向けての作業を行った。 2.IRTSの近赤外線分光器による天体スペクトルを用いた質量放出の研究を、フランス・パリ天文台のLe Bertre博士と共同で行った。山村はデータの評価と、赤外線スペクトルによる分類方法の検討を行った。分光データ中の特徴的な波長の強度比から、炭素と酸素の元素比の異なる赤色巨星の分類が確実に行えることを示した。この結果は、Astronomy and Astrophysics誌に受理された。 3.ヨーロッパ南天文台のVLT望遠鏡で得られた、大マゼラン星雲中の赤色巨星の分光観測データの解析を、マンチェスター理工科大学の松浦美香子博士との共同で行い、金属量が我々の銀河系に比べて小さい星の大気構造について議論した(Matsuura et al.2002)。 4.本研究の主題である、多くの天体スペクトルの自動分類については、残念ながら期間中に結論を得ることが出来なかった。その最も大きな原因は、観測データのクオリティの違いを統一的に評価する方法など、いくつかの技術的問題の解決が難航したことによる。しかし、赤色巨星の大気構造と質量放出の理解のために本研究の果たす役割は依然として大きく、今後も継続して研究を続けたいと考えている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Matsuura, M., et al.: "The Time Variation in infrared water-vapour band in Mira variables"Astronomy and Astrophysics. 383. 972-986 (2002)
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[Publications] Matsuura, M., et al.: "The extended atmosphere and evolution of the RV Tau star, R Seuti"Astronomy and Astrophysics. 387. 1022-1031 (2002)
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[Publications] Oneka, T., de Jong, T., Yamamura, I.: "Time variation of SWS spectra of M-type Mirabariables and its dust optical properties, I.Z Cyg"Astronomy and Astrophysics. 388. 573-586 (2002)
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[Publications] Matsuura, M., et al.: "Very large Telescope Spectra of Carbon Stars in the Large Magellanic cloud and their Metallicity dependence"Astrophysical Journal. 580. L133-L136 (2002)
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[Publications] Le Bertre, T., et al.: "Galactic mass-longing AGB stars probed with the IRTS II"Astronomy and Astrophysics. (印刷中). (2003)