2001 Fiscal Year Annual Research Report
相対VLBIによる球状星団の高精度アストロメトリ観測
Project/Area Number |
13740135
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
本間 希樹 国立天文台, 地球回転研究系, 助手 (20332166)
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Keywords | 銀河系天文学 / 高精度アストロメトリ / 相対VLBI / 球状星団 / ダークマター |
Research Abstract |
本研究は、球状星団内の連続波電波源(X線連星等)を相対VLBI観測し、その3次元運動を精度良く測定することで、銀河系ハローの質量分布に制限をつけることを目標としている。本年度は、2年計画の第1年次として、主に次の2項目について研究を進めた。 1:連続波源探査 球状星団内にある連続波源のうち、実際に相対VLBI観測可能なコンパクトな天体を探査するために、国内VLBIネットワーク(J-Net)をもちいたVLBI観測を2001年5月末に実行した。この観測では、通信総合研究所で開発された世界最高の記録速度を誇るギガビットレコーダーを使用することで、極めて高い検出感度を達成した。10数個の球状星団内電波源について超高感度観測を実行した結果、1天体から有意なフリンジが検出された(天体強度約15mJy)。この検出は、相対VLBI観測の実現に向けた重要な進歩である。また、現在他の天体についても詳細を解析中であり、さらに、今回検出された天体が実際に球状星団中に存在するかどうかの確認作業も進めている。 2:相対VLBI位置天文観測における位置天文マイクロレンズ効果の影響評価 相対VLBI法を用いて実際に位置天文観測を行った際に、電波源の前をたまたま通過した天体によって発生する位置天文マイクロレンズ効果によって、観測にどの程度の影響がでるか、また、マイクロレンズ現象が発生した場合にはそこからどのような情報が引き出せるか、について調査を行った。その結果、100天体に1個程度の割合でマイクロレンズ現象が発生していることが明らかになり、今後の観測でも注意深くその影響を見極める必要があることがわかった。さらに、そのような現象の観測から、レンズ天体の質量に強い制限をつけることができることも示唆された。この研究は、電波源の相対VLBI観測が新たな研究分野へと展開してゆく可能性を示すものであり、今後のさらなる進展が興味深い。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Honma: "Detecting Galactic MACHOs with VERA through Astrometric Microlensing of Distant Radio Sources"Publications of the Astronomical Society of Japan. 53. 233-241 (2001)
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[Publications] Y.Tutui, Y.Sofue, M.Honma, T.Ichikawa, K.Wakamatsu: "Hubble Constant at Intermediate Redshift Using the CO-Line Tully-Fisher Relation"Publications of the Astronomical Society of Japan. 53. 701-712 (2001)
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[Publications] M.Honma, T.Kurayama: "Astrometric Microlensing of Distant Radio Sources Caused by Stars in the Galaxy"Astrophysical Journal. 568(in press). (2002)
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[Publications] S.Noda, et al.: "Study of variable stars in the MOA data base : long-period red variables in the Large Magellanic Cloud"Monthly Notices of Royal Astronomical Society. 330. 137 (2002)