2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740169
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
藏増 嘉伸 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (30280506)
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Keywords | 量子色力学(QCD) / 格子QCD / ボトムクォーク / B中間子 / ハドロン行列要素 |
Research Abstract |
格子QCDを用いて弱い相互作用における重いハドロン(チャーム、ボトムクォークを含むハドロン)の行列要素を精度良く計算することは非常に重要であるが、重いクォークを格子上で扱う場合はそれ固有の困難がある。問題は、現在の計算機性能では格子QCDのカットオフ、即ち格子間隔の逆数(a^<-1>)は重いクォークの質量(m_Q)より小さく取らざる得ないことである。例えば、現在の数値計算においてはボトムクォークの質量(m_b)とカットオフの比はおよそm_ba【approximately equal】2-3程度である。この大きなm_Qa比の効果をコントロールするために幾つかのアイデアが提案されているが、その殆んどは非相対論的QCDのようにm_Qa》1という仮定に基づいている。この場合カットオフの大きさは重いクォークの質量よりも小さくなければならないので、ハドロン行列要素の連続極限を考えることは原理的に出来ない。このことは、第一原理に基づいた計算という格子QCDの本質的な利点を放棄しており、格子上におけるHeavy Quarkの定式化として満足できるものではない。 青木慎也(筑波大),冨永信一(筑波大)との共同研究のもと、我々はm_Qa【approximately equal】1の条件下における格子上のHeavy Quarkの相対論的定式化を提唱した。基本的なアイデアとしては、Heavy Quark作用にm_Qaに依存するパラメーターを人為的に導入し、それによってm_Qa【approximately equal】1によるカットオフ効果を取り除くというものである。現在摂動計算によってこのパラメーターをone-loop levelで決定することに成功し、更に次のステップとして非摂動的に決定することを目指している。我々の相対論的定式化によって、Heavy Quarkを含んだ物理量の連続極限を考えることが可能となり、これによって現在広く行なわれている非相対論的近似を越えた計算が実現できる。これはB中間子崩壊定数やB中間子Bag定数さらには他のB中間子形状因子の精確な決定に対して、本質的な前進であると考えられる。
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Research Products
(1 results)