2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740171
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
佐々木 節 高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 助手 (50259983)
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Keywords | 放射線 / シミュレーション / 並列処理 / 分散オブジェク |
Research Abstract |
本研究は、Geant4の並列化を行うことを目的としている。Geant4は、放射線と物質の相互作用をシミュレーションするためのソフトウェアツールキットである。1994年より開発に取り組み、1999年に最初の公式リリースを行った。現在では、原子核実験、宇宙物理、医療、宇宙ステーション開発などの広い分野で利用されている。放射線と物質の相互作用は、確率現象であり、非常に多様で複雑な過程を伴う。そのため、シミュレーションしょうとする装置や物体の構造、および入射粒子の種類とエネルギーによっては、非常に計算時間がかかる。さらに、確率現象を解析するという性質上、多数の事象を発生させ、統計的に処理をする必要がある。そこで、平行に事象を処理し、計算時間の短縮を図ることを試みた。事象毎には、独立で、因果関係がないので、事象を別々の計算機で処理する。シミュレーションの入力となるのは、入射粒子を含む初期事象、乱数のシード、測定器や対象となる物体に関するパラメータである。各計算機で、Geant4を元に作成したシミュレーションソフトウエアを実行しておき、入力すべき数値等をネットワーク経由で配布する。シミュレーションの結果は、再び、ネットワーク経由で収集し、記憶装置に記録する。ネットワークを利用し、平行処理するために枠組みとしてはMPI、PVM等が広く使われている。しかし、Geant4は、C++言語を利用し、オブジェクト指向技術を取り入れて設計と実装が行われているので、有効にそれらの利点を利用するため、CORBAと呼ばれる分散オブジェクト技術を利用し、実装を行った。今年度は、Geant4とインターフェースするために必要なクラスの設計と実装を行った。CORBA以外の技術も利用可能なように、仮想クラスを定義し、必要に応じて機能の拡張が行えるようにした。MPIによる実装にも取り組んでいる。
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