2001 Fiscal Year Annual Research Report
三元タリウムカルコゲン層状化合物の光誘起メモリー効果
Project/Area Number |
13740180
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
加藤 有行 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (10303190)
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Keywords | TlInS_2 / TlGaS_2 / 構造相転移 / フォトルミネセンス / 光誘起メモリー効果 |
Research Abstract |
低温で光照射を行うと,TlInS_2の発光スペクトルの励起子発光領域に新たな発光帯があらわれること,TlGaS_2では深い準位からの発光帯の強度が減少することを見出した.このようなスペクトルが変化した状態は低温において長時間持続し,これは光誘起メモリー効果とみなされる.TlInS_2, TlGaS_2ともに,温度を下げていくと二度構造相転移することが知られているが,光誘起メモリー効果の消失が起こり始めるのに必要な温度,完全に消失するのに必要な温度が,報告されているそれぞれの二つの構造相転移温度に対応していることを明らかにした. 本研究では光誘起メモリー効果のメカニズムの解明を目的とし,光誘起メモリー効果が起こる光学スペクトル(主に発光)の測定のために,全波長域を同時に短時間で測定することができる高感度冷却CCDを用いた分光システムを導入した.現在,その整備を進めており,試料に関しては,研究協力体制が既に確立しているアゼルバイジャンのバクー物理学研究所に試料の作製を依頼し,作製中である.本研究は本年度途中に追加採択されたこともあり,現段階で新しい成果が得られていないが,上記の準備が完了し次第,当初の計画通り光誘起メモリー効果の照射光波長依存性や時間分解測定にとりかかる予定である.
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