2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740189
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
若林 克法 広島大学, 大学院・先端物質科学研究所, 助手 (50325156)
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Keywords | ナノテクノロジー / ナノグラファイト / ナノグラファイトリボン / ジョセフソン接合 / ランダウアー公式 / 電子輸送特性 / ナノサイズ炭素系 / 電子物性 |
Research Abstract |
フラーレン分子,カーボンナノチューブの発見以降,ナノメターサイズの炭素系物質群に関する基礎物性の解明と工学的応用に関する研究が強い関心を集めている.ナノサイズの炭素系では,炭素原子骨格が作り出すパイ電子のネットワークトポロジーが電子物性に大きな影響を与えることが最近の研究から明らかになってきている.本研究では,ナノサイズ炭素系における電子輸送特性を理論的に解析することによって,特に炭素ネットワークトポロジーと電子物性との関係を明らかにし,新規ナノデバイスの理論的提案を行なうことを目指す. 平成13年度では,炭素ネットワークトポロジーが,電子輸送特性に及ぽす影響を,強結合模型に基づいて,ランダウアー公式に用いて理論解析した.特に,不純物あるいは格子欠陥をもつグラファイトリボンの電子輸送特性を詳しく調べた.グラファイトリボンのコンダクタンスが,格子欠陥のサイズや形状に対して強く依存する,特異な振る舞いを示すことが明らかになった.リボンから取り去ったA副格子サイトの数とB副格子サイトの数の差がゼロか否かによって,シングルチャンネル領域での透過確率が定性的に異なる振る舞いをすることがわかった.これは,通常の量子細線で見られない振る舞いであり,非常に興味深いといえる.さらに本年度では,ナノサイズ炭素物質と超伝導接合系におけるジョセフソン効果を解析するためのプログラム開発を行なった.高い数値信頼性を得るために,グリーン関数法に基づいてプログラムを作成した.現在のところ,超伝導体で挟まれたナノグラファイト領域におけるネットワーク形状に依存して,ジョセフソン電流の振る舞いが大きく変化することがわかってきている.今後はさらに,外部磁場への応答も含め,詳細な解析を行なう方針である
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Katsunori WAKABAYASHI: "Electronic Transport Properties of Nano-Graphite Ribbon Junctions"Physical Review B. 64. 125428-1-125428-15 (2001)
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[Publications] Katsunori WAKABAYASHI, Manfred SIGRIST: "Single-channel electronic transport properties of nano-graphite ribbons"Synthetic Metals. 121. 1750-1751 (2001)
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[Publications] Katsunori WAKABAYASHI, Manfred SIGRIST: "Electronic transport properties due to edge states in nanographite ribbons"Proceedings of the 25th International Conference on Physics and Semiconductor (Springer, New York 2001). 1643-1644 (2001)
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[Publications] 若林 克法: "化学フロンティア(9)「ナノマテリアル最前線-現実になった究極のモノづくり」"化学同人(印刷中). (2002)